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実証実験の予定は白紙の状態

図2●出版業界におけるICタグ実用化に向けた取り組み

 ICタグ研究委員会とICタグ技術協力企業コンソーシアムは、4月から本格的に活動を開始する(図2[拡大表示])。

 ICタグ研究委員会は、4月中に五つのワーキング・グループを設置する。各グループはICタグの技術的な課題や、ICタグを使ったときに出版業界の業務に与える影響などを整理して、解決に向けた調査をICタグ技術協力企業コンソーシアムに依頼する。

 一方、ICタグ技術協力企業コンソーシアムは4月から8月にかけて、会員企業を対象に出版社や取次店の現場見学会を実施。これと並行して、ICタグ研究委員会からの調査依頼に基づく質問状を作成して会員企業に送付したり、会員企業からICタグの導入方法に関する提案を募集する。

 見学会を実施するのは、「ベンダーから新しいアイデアを出してもらうには、実際に現場を見て業務の実態をきちんと理解してもらう必要がある。だが出版業界の業務の流れや内容は、紙を使って説明しただけでは把握しづらい」ことが理由だと、コンソーシアムの幹事を務める奥脇三雄 集英社雑誌販売部長は説明する。

 ICタグ技術協力企業コンソーシアムに提案が集まったら、ICタグ研究委員会は提案内容を精査して、課題をより深く追求する。そしてコンソーシアムの会員企業から再び提案を募る。

 二つの組織は来年3月までの1年間、こうしたやり取りを繰り返しながら、ICタグを導入する際に考えられる問題点を洗い出していく。同時に解決策や解決可能な時期を探り、ICタグの導入効果が得られる用途があれば、4月以降に実証実験を始める。

 ただし、実験の予定はまだ白紙状態である。出版業界を蝕み続ける万引き被害を減らせるようになるには、かなり時間がかかりそうだ。

(栗原 雅)