[環境] 土木と樹木の共存を提案

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本田 一彦氏(44歳) 八千代エンジニヤリング総合事業本部
環境計画部技術第一課課長

主な保有資格
樹木医、技術士(建設/建設環境)

 日本緑化センターが認定する民間資格の樹木医は、林野庁の下で創設された。保有者には学識者や自然保護運動の関係者もいる資格だが、インフラ整備で環境保全や緑化の重要性が高まるにつれて、建設業界でも“使える”資格になりつつある。

 八千代エンジニヤリング環境計画部技術第一課の本田一彦課長がこの資格の存在を知ったのは2000年代初頭、日本道路公団系の社団法人「道路緑化保全協会」にいた時だった。本田氏は1995年に大学の園芸学部を卒業して造園系のコンサルタント会社に入社し、出向の形で同協会に勤めた。

かつて伐採した樹種を残す時代

 協会で担当した主な仕事の一つが、東京外かく環状道路(外環道)の千葉県区間の整備予定地に残るクロマツ並木の移植と保全の検討だった。本田氏は、協会が専門アドバイザーとして招いた樹木医の保有者とともにこの仕事に取り組んだ。

 「かつてクロマツはありふれた木で、道路整備で伐採してしまうのが普通だった。そのため、移植に関して既存のノウハウが無かったので、樹木医を中心にゼロから検討した」(本田氏)。

 この経験で資格の重要性と将来性を実感した本田氏は、05年に八千代エンジニヤリングに転職すると翌06年、同社で初めての樹木医資格を取得した。

 取得に必要な研修を受講するためには、約2週間も休みを取る必要があった。それでも、造園関連だけでなく道路などのインフラ整備の業務でも役に立つ資格だと当時の上司に強くアピールし、認めてもらった。

 樹木医になった本田氏は狙いどおりに、道路整備では街路樹の保全や新たな植樹、河川事業では河川敷の緑化など、縦横無尽に活動している。「樹木医がいるならちょっと木のことも相談したいと、様々な事業の担当者が気軽に声を掛けてくれる」(本田氏)。また、樹木医の団体で会報(下の写真)の編集を担当するなど、他社の樹木医との交流も深めている。

街路樹のサクラの樹勢を調べるため、木づちで打音診断を行っている本田氏(写真:八千代エンジニヤリング)
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 本田氏の上司の佐々木智行・環境計画部部長は今後の展望として、「自治体などが行政コストの削減を進めるなかで、緑地や植栽の維持管理コストも見直さざるを得なくなっている。こうした課題の解決策を提案する際、樹木医の保有者に期待している」と語る。

出典:日経コンストラクション 2016年2月4日公開 特集 攻めの資格活用
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。