必要に迫られて資格を取得するだけではもったいない。重要なのは、取得に向けて学んだことを、いかに仕事に生かすかだ。自分の描くキャリア形成に向けて、戦略的に専門分野外の資格を取得する技術者もいる。この章では、9人の資格活用の達人を紹介する。

[地盤] 社外の人脈広げる機会に

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橋尾 宣弘氏(49歳) エイト日本技術開発東北支社
防災保全部地盤技術グループ
グループマネージャー

主な保有資格
技術士(応用理学/地質、建設/土質および基礎、道路、森林/森林土木、総合技術監理/建設)、コンクリート診断士、地すべり防止工事士、一級土木施工管理技士、地質調査技士、地質情報管理士、測量士補、さく井技能士、火薬類取扱保安責任者

 「資格を取って良かったことの一つは、社外の研究会などに参加する機会が広がったことだ」。こう語るのは、エイト日本技術開発地盤技術グループの橋尾宣弘グループマネージャー。地質や土質に関する技術士のほか、コンクリート診断士など多数の資格を保有している。

 建設コンサルタンツ協会東北支部では、地盤に関する技術委員会のメンバーを務める。この分野の資格を持っていることが、委員会に入るきっかけとなった。一口に地盤と言っても、軟弱地盤を専門とする人など、細分化された様々な専門家が集まっている。こうした専門家との交流から得るものは大きい。

 そのほか、所属する技術士会も人脈が広げる良い機会になっている。「有資格者の中には熱意を持った人が多いので、自分にとって大いに刺激になる」(橋尾氏)。

 大学は理学部の地質学科出身。現在の仕事は地盤関係の業務が中心だ。しかし、技術士建設部門の「道路」やコンクリート診断士など、取得している資格は幅広い。

 橋尾氏にはかつて、狭い専門だけにとどまっていてはいけないと痛感した出来事がある。技術士応用理学部門の「地質」を初めて受験したときのことだ。職場の土木工学科出身の先輩も一緒に受験したのだが、先輩だけが受かり、自分は落ちてしまった。

 「私の方が地質の専門だから、自分が先に受かると高をくくっていた。実際は、この資格制度が求めている技術者は先輩の方だった。大事なのは、着目点や問題解決のやり方など。自分がやってきた専門ばかりでは受からないことに気付かされ、非常にショックを受けた」(橋尾氏)。この時の経験が、様々な資格に挑戦する原動力になっている。

橋尾氏は震災復興事業にもCMr(コンストラクション・マネジャー)の一員として携わる。CMrの中で、測量や地質調査などにそれぞれ管理技術者が必要だったことから、資格者の橋尾氏に声が掛かった。画像は東松島市野蒜北部丘陵地区の完成イメージ(資料:大成・フジタ・佐藤・国際開発・エイト日技JV)
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出典:日経コンストラクション 2016年2月4日公開 特集 攻めの資格活用
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。