2016年に英国・ケンブリッジ大学などのグループが発表した80階建て木造超高層ビルの建設構想(プロジェクトの詳細はこちら)。その構想を打ち立てたグループの主力メンバーである設計事務所PLPアーキテクチュア(英国・ロンドン)に、複数の設計チームを束ねる日本人設計者がいる。ディレクターを務める相浦みどり氏だ。

英国の設計事務所PLPアーキテクチュアでディレクターの要職を務める相浦みどり氏(写真:日経アーキテクチュア)
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 相浦氏が設計を手掛けた建築のうち、近年、欧州を中心に注目を集めた事例がある。オランダ・アムステルダムに立つオフィスビル「ジ・エッジ」だ(建物の詳細はこちら)。世界を股に掛ける会計事務所デロイトが、主要テナントとして入っている。地下2階・地上15階建て、延べ面積約4万m2の建物だ。

 このジ・エッジは、英国発の建築物の環境性能評価システムBREEAM(ブリーアム)で、新築オフィスとして過去最高となるスコアを実現。16年にブリーアム・アワードと呼ぶ英国建築研究所が授与する賞で、最優秀に輝いた。

相浦氏が設計を手掛けたオランダ・アムステルダムに立つ環境配慮型のオフィスビル「ジ・エッジ」。完成時には英国発の建築物環境性能評価システムである「BREEAM(ブリーアム)」の新築オフィスビル部門で、過去最高のスコアを記録した(写真:Ronald Tilleman)
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 ジ・エッジが成し遂げたのは、高い環境性能だけではない。建物を利用する従業員の働き方を変革したり、利用者から得られる情報を建物の維持管理に役立てたりできるような工夫を凝らした。相浦氏は、建物に派手な意匠を求めていない。むしろ、機能や使い方で新しいアイデアを盛り込むことに力点を置く。

 「約3100人が働くオフィスに設けた机は1000人分。働き方を変えて、無駄のないオフィスを実現した点や光熱費・清掃コストなどを抑えて維持管理費を削減した点を、デロイトが評価してくれている」と、相浦氏は胸を張る。