先行き不透明な日本だけで頑張っても大きな発展は望めない。北京・台北・東京の3都市に拠点を置いてリスクを分散しよう――。30代の若き設計者3人が選んだ道は、“アジアの時代”を先取りする新しい生き方だ。「現代の腕利き」第3弾は、H2Rアーキテクツを紹介する。

東京支社(東京都豊島区)のオフィスに立つH2Rアーキテクツの白井宏昌。模型は、中国唐山市に建設予定の複合ビル計画。H2Rアーキテクツは、コンセプトと基本設計を担当した(写真:日経アーキテクチュア)
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 「東アジアの市場に飛び込んだ理由?日本経済が今後、右肩上がりで成長するとは思えなかったからだ」。H2Rアーキテクツの白井宏昌はこう語る。

 同事務所は、北京で知り合った白井と平原英樹、ロンハオ・チャンの3人がパートナーシップを組み、2010年6月に設立した。東京と北京、台北に拠点を構える。まだできて1年半の若い事務所だ。

 白井と平原は2人とも1970年代生まれ。大学卒業と就職氷河期がちょうど重なった世代だ。それ以前の「なんとかなる」と楽観的だった世代とは異なり、先を見通す時もリスクを見込んで考えることが半ば習慣になっている。事務所を設立する時も、2年間の準備期間を置き、最もリスクがない方法が何か、じっくり戦略を練った。3カ国に拠点を構えたのも、まさにリスク分散発想のそのものだ。

 「1カ国の経済に依存すると、どうしても景気変動の波をかぶる。経済成長を続ける東アジア圏で3拠点構えれば、そうした変動リスクを最小限に抑えられる」と白井は言う。

H2Rアーキテクツの営業用プレゼンテーション資料の一部。白井ら3人が、過去に在籍した設計事務所やデベロッパーでの仕事を一覧できるようにしている(資料:H2Rアーキテクツ)
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