「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」や「非エンジニアながら、プログラミングを仕事に生かしている人」など、IT技術における何らかの“越境”を経験している人を「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは、ウェルスナビ 代表取締役CEOの柴山和久氏。同社はロボット(プログラム)による資産運用の自動支援サービスを提供している。柴山氏は、プログラミングを一から学び、提供したいサービスのプロトタイプを自ら作って起業した。今回は、起業のきっかけや動機を聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK)


 以前は10年弱の間、財務省で仕事をしていました。それから5年くらいマッキンゼーというコンサルティング会社に勤務していました。途中で1年間くらいフランスに留学しています。

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 留学していた当時は、起業するとは全く思っていませんでした。留学先のINSEAD(インシアード)は、フィナンシャルタイムズのグローバルランキングでトップのビジネススクールです。この学校には二つの特徴があります。一つは、起業に関する授業が充実しており、起業家を輩出していること。もう一つは、フランスにあるので米国中心ではなくグローバルであることです。キャンパスはフランスとシンガポールにあり、私はフランスで学んでいました。INSEADは、マッキンゼーが一番多くMBA(経営学修士)を採用しているビジネススクールです。マッキンゼーもまたグローバルだからです。

 そのころは、「世の中には起業する人もいるんだな、すごいな」としか思っていませんでした。完全に他人事です。そのため、起業の授業はたくさんあるのに一つか二つくらいしか取っていませんでした。自分は金融工学、コーポレートファイナンス、銀行経営といったファイナンスに関する勉強をずっとしていました。

新興国にアドバイスしている場合ではない

 起業することにしたのは、ほとんど思い付きのようなものです。生まれて初めて起業しようと思った日の3週間後には、エンジェル投資家がだいたい決まっていました。