「ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア」や「ITとIT以外の分野の境界を行き来しながら成果を上げているエンジニア」を「越境エンジニア」と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは都元ダイスケ氏。同氏は9年前、薬剤師からITエンジニアという全く違う分野に転職した。転職に至った経緯や転職後の紆余曲折について聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK)


 薬剤師からITエンジニアに転職したのが2008年3月なので、今年で丸9年になります。現在の勤務先のクラスメソッドは、薬剤師時代を含め5社目の転職先です。9年間のエンジニア人生のうちクラスメソッドには丸4年いて、5年目になります。

[画像のクリックで拡大表示]

 実は私とプログラミングとの出会いは古く、中学生時代にさかのぼります。中学の頃からコンピュータを触ってC言語で簡単なプログラムを書いたりしていた。当時はインターネットはなく、パソコン通信の時代でした。

 パソコン通信のネットワークをつなぐとフリーソフトウエアをダウンロードできました。中学生だったのでゲームソフトを買うお金がなく、ゲームをダウンロードして遊んでいました。ただ、ダウンロードするにも電話代がかかります。そこで電話代と相談して、よりすぐったゲームをダウンロードして遊んでいました。

 当時、何千本ものフリーソフトウエアをフロッピーディスクに収録したムックが半年か1年に1回、出ていました。それを買えば、いろんなソフトで遊び放題だったのですが、買うお金がありません。そんなとき、自分のソフトウエアが載れば、見本誌をもらえるという話を聞いたのです。そこでプログラムを作ってみることにしました。

 幸い、父親が買ってきたパソコン「PC-9801VX」が自宅にありました。Cの解説書も父親が買っていました。さらにCコンパイラの「Microsoft C Compiler」(MS-C)も家にありました。大きな箱にドキュメントがたくさん入っていて、父親は「10万円もしたんだぞ」と言っていました。

 それらを使って、Cを独学してプログラムを作ってみました。そのムックに付いていたデータを他のソフトウエアで使える形式に変換するコンバーターです。正直に言うと、その雑誌の見本誌をもらう立場を得るためだけに作ったソフトなのですが。このプログラムをまんまと載せてもらい、新しい本が出るたびに見本誌を送ってきてもらえる座を手に入れました。

オブジェクト指向にいったん挫折

 ただ、高校と大学では基本的にはプログラミングから離れていました。進学する大学は、コンピュータがもともと得意なので工学部の情報系か、化学にも興味があったので薬学部の2択で迷いました。しかし、薬剤師の免許は薬学部に入らないと取れないので、薬学部を選択しました。