ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 ここ3回に渡って品質管理の知識を学ぶコツをお伝えしてきました。今回は検定試験についてお話しします。

 多くの企業が社内教育に力を入れています。忙しい仕事をこなしながらの学習には頭が下がる思いです。この社内教育では、目標の1つとして検定の合格を掲げるケースがあると思います。国家資格である技能検定などはその代表格。品質管理の知識を対象とした検定には「QC検定」があります。ものづくり現場に生かすには、このQC検定の3級を取得することがとても良い目標だと思います。QC検定の3級は、基礎を押さえながら、実践に生かせる手法をまんべんなく網羅しているからです。

 こう言うと、「3級に合格したら、次は2級を目指そう!」となりがちです。しかし、やみくもに2級を目標にすることはお薦めしません。それは2級の試験範囲は、確率分布や実験計画法、相関分析、回帰分析などがメインになっているからです。

 これらを習得するには統計学の高度な知識を持っていなければなりません。理系出身者でも相当に難解なレベルです。気をつけてほしいのですが、統計学が難しいから習得するのはやめましょう、と言っているのではありません。そうではなくて、ここで言いたいのは、「これらの統計学を生かせる改善テーマが実際にあるかどうかを確認しておくことが大切だ」ということです。

 例えば実験計画法。加工や組み立てを行う際にはいくつかの加工条件があります。環境温度や湿度、スピードや圧力といったものです。このとき各条件が他の条件とは関係なく単独で決まる場合と、他の条件の影響を受ける場合があります。例えば、環境温度は湿度やスピード、圧力の条件に関係なく20℃が 最適という場合は前者。湿度が50%のときは20℃が最適だが、湿度70%では10℃が最適という場合には後者です。

 いま4つの条件の最適値を求めるときに、条件を5つに分類する(例えば温度であれば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃)とすると、条件が単独で決まる前者の場合には、5+5+5+5=20回の実験を行えば最適値をつかめます。これに対し、他の条件の影響を受ける後者の場合には、5×5×5×5=625回の実験を行わなければなりません。これには相当な時間とコストとマンパワーが必要になります。ここで、「実験計画法」の出番となります。実験計画法を使えば、625回よりもはるかに少ない実験回数で最適値に近い条件を導き出すことができるのです。これは企業にとっては非常にメリットのある有効な手段です。