ジン・コンサルティング 代表、生産技術コンサルタント西村 仁氏
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 前回は図面の読み方のコツをお伝えしました。第三角法の図面から立体の形をイメージするには、木彫りと同じ手順で考えると良いこと、そして図面の情報の1つである「幾何公差」の習得については、いったん飛ばして最後に学べば良いことをお伝えしました。

 幾何公差はもちろん重要ですが、技術系の設計者にとっても難しく感じるものです。ましてや、間接部門にいる文系出身の社員にとっては大きな壁になります。書籍で学ぶ際には、この幾何公差は真ん中あたりで登場します。ここで心が折れてしまうと、これ以降の大切な章を読むことなく本を閉じてしまう恐れがあります。これを避けるためにも、まずは一通り全体を把握してから、最後に幾何公差にトライすることをお薦めします。

 では、なぜ幾何公差は難しく感じるのでしょうか。そこで、まず「公差」の意味を確認しておきましょう。例えば、図面中の「50mm」という指示に対して、完全に50mmピッタリに加工することはできません。例えば49.95mmだったり50.08mmだったりと、どうしてもずれが生じてしまいます。設計者にしても50mmと記載するものの、「実際には49.9~50.1mmの間に入ればよい」というように許容できる幅があります。この許される幅が公差です。

 そのため、設計者は寸法を表示する際には必ず「狙い値」と公差の両方を記載します。たとえば「50±0.1」といった記載です。これは寸法に対する公差なので「寸法公差」といいます。もしも公差の表示がなければ、検査しても合否の判定ができないわけです。

 では、本題の「幾何公差」です。寸法公差が「寸法に対する指示」であるのに対し、幾何公差は「形に対する指示」になります。例えば、「平面度」は「平らの度合い」を表します。対象となる面を2枚の平行なガラス板で挟み込んだと仮定します。もしも面が波打っていたらガラスの間隔(隙間)が大きくなるし、完全な平らであれば間隔は限りなくゼロに近くなります。この間隔が平面度の公差値となります。「平面度0.2」ならば対象となる面が0.2mmの間隔に収まることを意味します。