(写真:日経コンストラクション)
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 戸田建設の一之瀬敦史氏は1996年に入社してから現在まで一貫して現場に勤務してきた。2011年3月には国土交通省発注の道路橋工事の現場所長に就任した。30歳代で国交省工事の所長に就くのは、同社では早い方だ。

 技術士の建設部門を取得しようと思い立ったのは、現場で技術的な問題が生じた場合に、なるべく本社のサポートを仰がずに自力で解決できるようになりたいと考えたからだ。

 技術士二次試験を受け始めたのは37歳の時の09年。同社土木部門の社員が技術士を取る平均年齢は42.7歳で、技術士への挑戦を始めたのは早い方だった。しかし、所長就任とは勝手が違い、こちらは難航。16年3月、平均年齢を超える44歳でようやく取得した。

現場と勝手が違う試験会場

 一之瀬氏が二次試験で苦労したのは、筆記試験の択一式の問題と口頭試験だった。

 択一式で苦労したことについて、一之瀬氏は次のように自省する。「勉強時間を十分に確保できていなかった。しかも苦手なことを後回しにしがちなのが良くなかったと思う」。物事を細部まで一気に片付けることに必ずしもこだわらない性格は、長期戦となる現場運営では有効な場合がある一方で、試験勉強という短期決戦には対応しにくかったようだ。

 口頭試験には当初、緊張してうまく対応できなかった。「現場勤務では内心で緊張しても表に出さずに落ち着いて振る舞えるのに、なぜか試験では同じことができなかった」。現場での強みを試験会場ではなかなか発揮できない、内弁慶ならぬ“外弁慶”のタイプだった。

 13年1月、国交省発注の道路工事で再び現場所長に就任。2回目の所長就任である程度仕事に慣れて、管理職の立場を生かすことで以前よりも試験勉強の時間を確保しやすくなった(写真1)。

写真1■ 国土交通省近畿地方整備局発注の第二阪和国道大谷西地区改良工事の現場。一之瀬氏が所長を務めた2カ所目の現場だ(写真:戸田建設)
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 一之瀬氏はこの好機を生かして、仕事が一段落した時期に集中的に勉強し、苦手分野を克服。社外の技術士試験対策講座も受講して口頭試験対策を強化し、ついに合格を勝ち取った。

出典:日経コンストラクション 2017年2月9日公開
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