AIによる画像分析の加速は2018年の研究成果がカギに

 現在の医療現場には大量の画像データがある。CTやMRIが身近な医療機器として使われ、口から飲み込むカプセル内視鏡検査などは、一度に数千から数万枚もの大量の画像が取得される。詳細な画像があればそれだけ正確な診断ができるようになり、患者側のメリットも多い。

日本アイ・ビー・エム株式会社<br>インダストリー・ソリューションズ事業開発<br>クロス・インダストリー・ソリューションズ<br>ヘルスケア分野 スペシャリスト<br>ビジネス デベロップメント エグゼクティブ<br>小林俊夫氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
インダストリー・ソリューションズ事業開発
クロス・インダストリー・ソリューションズ
ヘルスケア分野 スペシャリスト
ビジネス デベロップメント エグゼクティブ
小林俊夫氏

 しかし、課題もある。画像から異常の有無を診断する“読影(どくえい)”が医師の大きな負担になっているのだ。原因は読影を専門に行う“読影医”の数が慢性的に不足していることだ。読影医は負担を強いられる一方で、見落としを防ぐためのダブルチェック体制を実現している病院は全体の半数に満たない。

 画像診断は治療の出発点となるだけに、この事態は深刻である。しかし、放射線医や病理医など読影の専門医の数を増やすことは難しい。現場の医師が読影を行うこともあるが、専門的な知識や経験が必要とされる領域だけに、診断結果にばらつきが発生することもある。それが治療全体に大きな影響を及ぼすという。

 この課題を解決する具体策として注目されているのが、ディープラーニング(深層学習)による画像診断支援だ。平成29年6月27日に厚生労働省がとりまとめた「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」でも、AI活用がイノベーションの中核として位置付けられ、2020年の診療報酬改定で診療報酬に反映することを目指している(*1)

 しかし、そう簡単にことは運ばない。日本IBMでヘルスケア分野を担当する小林俊夫氏は「2020年から反映しようとすると、その前年には研究結果が出ていなければなりません。逆算すると2018年が大きなカギになりますが、その前に解決しておくべき課題もあります」と指摘する。AI活用を進める上で何が課題になるのだろうか。

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