2021年国内プライベートクラウド市場は1兆6000億円超に

 オンプレミスからクラウドへ――。「クラウドファースト」の掛け声のもと、日本でもこの流れが一般化してきた。最近では「クラウドネイティブ」に代表されるように、クラウド上での利用を前提として設計されたアプリケーションやサービスが次々に登場。情報系システムの利用だけでなく、基幹システムをクラウドに移行するケースも増えている。

 実際、基幹システムのクラウド化に利用されることが多いプライベートクラウド市場は、大きな伸びを示している。IDC Japanの調査によると、2021年の国内プライベートクラウド市場規模は、2016年比5.2倍の1兆6,045億円になる見込みだ(図1)。

図1●国内プライベートクラウド市場の支出額予測
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基幹系を支える基盤、デジタルトランスフォーメーションを推進する基盤としてプライベートクラウドのニーズが高まっている。2016年の国内プライベートクラウド市場規模は3093億円だが、年平均39%の伸び率で成長を続け、2021年の市場規模は1兆6045億円になるという

 その一方、基幹システムのクラウド化に対する懸念も根強い。そこには3つのハードルが立ちはだかっているからだ。1つ目が、既存環境のプラットフォームとクラウドのプラットフォームが異なると、アプリケーションの乗せ換えに伴う検証や最適化が必要になること。IaaSやPaaSを利用する場合、その上位で稼働するアプリケーションは自分たちで検証しなければならない。アプリケーションの数が多ければ、その工数は膨大だ。

 2つ目に運用の見直しも必要になる。オンプレミス環境とクラウド環境では監視対象やポイントが変わる事で、運用設計の見直しが必要となる場合が多い。さらにはクラウドの特性に合わせスケールアウト型の構成に変更を行うケースも多いが、それによってオンプレミスと比べると監視対象となるインスタンスが増える可能性もある。

 さらに3つ目が、ネットワーク設定の見直しや再構成の手間である。クラウド配下での運用となるため、VLANの設計やルーティング、ファイアウオールの設定など、ネットワーク全般の“お作法”が大きく変わる可能性がある。これを一から見直すのは大変な手間がかかり、リスクも大きい。

 しかし、最近はこうした課題を払しょくしたサービスも登場している。実際、大手物流会社や厳格な情報セキュリティ対策が求められる自治体がこのサービスを利用し、基幹系システムを“丸ごと”クラウドに移行。ビジネス変革や住民サービスの向上を実現している。次ページ以降で、その成功に至るアプローチを紹介しよう。

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