企業が存在する意義は売上や利益の最大化なのか?

 ビジネスの成功とは何か。この根源的な問いに対して、あなたはどのように答えるだろうか。売り上げを上げること? 利益を上げること? 企業を継続させること? それともドラッカーが言っていたように、顧客を創り出すことだろうか。これらはすべて、ビジネスの成否を測る要素の1つだといえるが、本質的には「顧客の成功=カスタマーサクセス」の実現ではないだろうか。自社の製品やサービスによって顧客が成果を生み出し、それを喜んでもらうこと。それこそが、ビジネスの究極的な目的だといえるだろう。

 もちろん「顧客第一」を掲げている企業は決して少なくない。しかし「カスタマーサクセス」に焦点を合わせることで、「顧客第一」が単なるスローガンから、より具体性のある目標に変化する。つまり「顧客第一」が単なるリップサービスではなくなるのである。

 また、カスタマーサクセスにきちんと取り組み、自社の企業姿勢を顧客に印象づけることは、強力なブランド差別化要因にもなり得る。似たような製品やサービスが数多くしのぎを削る現在の市場では、顧客にどれだけ焦点を合わせられるかによって、存在感が大きく変化するのだ。その結果、顧客獲得や維持が容易になり、最終的には収益にも目に見える影響がもたらされることになるだろう。

 しかし、カスタマーサクセスの実現は口で言うほど簡単ではない。顧客と自社の間で生じるすべての事象が、カスタマーサクセスを左右する要因になるからだ。何か1つに秀でているだけでは十分ではない。優れた製品やカスタマーサービスはカスタマーサクセスを後押しする要因にはなるが、それだけでは不十分。ビジネスプロセス全体を視野に入れて取り組む必要があるからだ。

 もちろん、中堅・中小企業には潤沢なリソースがあるわけではない。「どう頑張っても大企業には勝てない」と考える人も多いはずだ。しかし必ずしもそうではない。適切なアプローチを進めていけば、最小限のリソースしか持たないスタートアップでもカスタマーサクセスを実現することは可能だ。それでは具体的にどうすればいいのか。次のページから解説していこう。

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