スペインのナバラ大学病院から陽子線がん治療システムを受注

日立として欧州で初めての受注

 

 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、スペイン王国(以下、スペイン)のナバラ大学病院(Clinica Universidad de Navarra(◇))から、陽子線がん治療システム一式と長期保守事業を受注しました。本システムは、日立にとって、欧州で初めての受注となります。

 ※「Clinica Universidad de Navarra」の正式表記は添付の関連資料を参照

 今回、受注した陽子線がん治療システムは、がんの形状に合わせて陽子線を照射できるスポットスキャニング照射技術を採用しています。治療室が1室の本システムは、シンクロトロン加速器、およびコーンビームCT(*1)を搭載した360度回転ガントリから構成されており、高精度な陽子線照射が可能です。また、システムには拡張性があり、今後、治療室をもう1室追加することが可能です。本システムは、ナバラ大学病院がマドリードに建設する新病棟に納入され、2020年春に治療を開始する予定です。

 日立の陽子線がん治療システムは、日本や米国の世界的に著名な病院に納入されており、これまでに16,000名以上の患者が日立のシステムで治療を受けるなど、高い信頼性と実績を有し、グローバルに事業を進めています。日立は、今後も陽子線をはじめとする粒子線がん治療システムのグローバル展開を加速させ、世界のがん治療に貢献していくとともに、ヘルスケア事業のさらなる拡大を図っていきます。

■陽子線がん治療について

 陽子線がん治療は、放射線によるがん治療法の一つであり、水素の原子核である陽子を加速器で光の約60%のスピードに加速させ、がん細胞に集中して照射することでがんを治療するものです。治療に伴う痛みがほとんどなく、身体の機能と形態を損なわないため、治療と社会生活の両立が可能であり、生活の質(Quality of Life)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法の一つとして注目されています。

■スポットスキャニング照射技術について

 スポットスキャニング照射技術とは、がんに照射する陽子ビームを従来の二重散乱体方式(*2)のように拡散させるのではなく、細い状態のまま用い、照射と一時停止を高速で繰り返しながら順次位置を変えて陽子線を照射する技術です。複雑な形状をしたがんでも、その形状に合わせて、高い精度で陽子線を照射することができ、正常部位への影響を最小限に抑えることが可能です。さらに、患者ごとに準備が必要であった装置(コリメーター(*3)、ボーラス(*4))が不要であり、また、陽子ビームの利用効率が高く不要な放射線の発生が少ないなど、患者に優しく、病院スタッフの負担も軽減でき、さらに、廃棄物の発生量の低減が可能であるという特長を備えています。

■日立の粒子線がん治療システムに関するホームページ

 http://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products-support/pbt/

 *1 コーンビームCT:通常の二方向からの二次元X線画像から得られる骨の位置、動体追跡技術によって得られる腫瘍の動きの情報に加えて、腫瘍周辺の正常組織、特に軟組織の位置・形状を把握し、治療室で照射する直前に体内の三次元画像を取得可能にする技術。

 *2 二重散乱体方式:物質中を通過する際の散乱効果を活用して、陽子線の細いビームを二つの散乱体に通過させ、拡散させることで、陽子ビームの直径を拡大する。拡大された陽子ビームは、コリメーターやボーラスを通して、がんの形状に成形される。

 *3 コリメーター:真鍮等の厚板をがんの輪郭に合わせて中を切り取ったもの。これによって、がんの形状に合わせて陽子ビームを成形する。

 *4 ボーラス:ポリエチレン等のブロックをがんの奥行きの形に合わせて中をくり抜いたもの。これによって、患部よりも奥に陽子ビームが届かないように設定することができる。

以上

 

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「Clinica Universidad de Navarra」の正式表記

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0466296_01.JPG