世界最高の放熱性能を持つ純カーボンナノチューブ放熱シートの開発に成功

 

 株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、高熱伝導性と耐熱性を両立する垂直配向カーボンナノチューブから構成された、世界最高の放熱性能を持つ高熱伝導カーボンナノチューブシートの開発に成功しました。

 電気自動車の急速な発展に伴い、高電圧下で電力を制御する車載パワーモジュールには低消費電力・高耐圧が求められており、モジュールの小型化に伴う高温動作への信頼性確保も同時に必要とされています。これに対して、低消費電力・高耐圧の特徴をもつシリコンカーバイド(炭化ケイ素、SiC)がシリコン(Si)に置き換わり利用されつつありますが、200℃以上の高温領域でも安定動作させるため、SiC素子の熱を効率良く排熱する必要があります。

 今回、高い熱伝導性をもつ素材として知られる円筒状構造のカーボンナノチューブの製造プロセスにおいて、熱伝導性が高い円筒の軸と排熱方向を合わせるため、製造条件である温度と圧力の組み合わせを最適に制御することで、カーボンナノチューブを、垂直方向に高密度かつ均一に成長させる、カーボンナノチューブ成長制御技術を開発しました。また、SiCを用いたパワーモジュールの排熱に利用するために、配向成長したカーボンナノチューブを2000℃以上の高温で加熱処理することでシート状に成形し、可搬を容易とするカーボンナノチューブシート化技術の開発に成功しました。本技術により作製した放熱シートは、既存のインジウムを原料とする放熱材料と比べて約3倍の放熱性能であり、カーボンナノチューブ放熱シートとして世界最高の放熱性能を確認しました。

 今後、本技術を次世代自動車向け放熱材料として2020年以降の製品化を目指すとともに、次世代HPCや次世代通信機器への適用など、新たな分野への展開も検討します。

 本技術の詳細は、11月26日(日曜日)から12月1日(金曜日)まで米国ハワイ島で開催されている国際会議「WINDS2017(2017 Workshop on Innovative Nanoscale Devices and Systems)」にて発表します。

■開発の背景

 世界的な二酸化炭素排出量削減に関する環境規制を背景に、電気自動車やハイブリッド自動車は今後急速に普及することが予想されています。電気自動車やハイブリッド自動車で使用される電力制御装置であるパワーモジュールでは従来Siを用いた素子が使用されてきましたが、ガソリン車並の長い航続距離などのニーズから一層の消費電力低減が求められており、Siの代替となる素子材料の一つとして、より低消費電力で高耐圧かつ高温環境下で使用可能なSiCの開発が進められています。同時に200℃以上の高温領域でも安定動作するSiC素子の熱を効率良く排熱するため放熱材料を含む周辺部品にも高熱伝導や高温耐性が要求されています。

 カーボンナノチューブは炭素原子から形成された直径数ナノメートル程度の円筒状のナノテク材料の一つであり、銅のおよそ10倍の熱伝導性や5000倍の電流密度耐性といった優れた特性に注目が集まり、様々な応用展開が進められており、車載向けをはじめとする次世代の放熱材料の候補として期待されています(図1)。

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■商標について

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以上

 

 

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