「LPWAを使いたいという問い合わせが急増し、LoRa方式の実証実験の累計件数は3月時点の40件強から半年で138件まで3倍以上に増えた」(NTTドコモ)、「製造現場の見える化や故障予知など、最近は顧客からの要望が一段と具体的になってきた」(KDDI)。

 通信速度は遅いが、低コストで広範囲に無線通信インフラを構築でき、通信モジュールは市販の電池で何年間も駆動する。そんな特徴を持つ通信技術LPWAは、大量に設置したセンサーから計測データを集める用途などIoT向け通信手段の大本命と言える。携帯大手などのサービス提供事業者は、そのニーズの高まりを異口同音に話す。

写真左はソニーのLPWAの受信用アンテナ、右上はSigfox内蔵の各種センサー、右下はKDDIの実証実験の様子
(出所:ソニー(左)、KDDI(右下))
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 各社は成長が見込めるLPWA市場を取り込むべく、それぞれの強みを生かせるサービスを着々と整えている。

ソニーのLPWA、2018年に提供を予定

 方式が乱立するLPWAの中で異彩を放つのは、ソニーが2018年に提供を予定する独自方式のLPWAだ。規格名すら決まっていない状況ながら「PoC(検証)キットを20社以上に提供済み」(ソニーセミコンダクタソリューションズの北園真一 IoTソリューションズ事業部製品3部主任技師)。

主なLPWAの規格とサービス事業者の関係
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 ソニー規格の特徴は、長距離通信や高速移動中の通信に強い独自の仕様にある。奈良県日出ヶ岳で発信した信号を274km離れた富士山の5合目で受信したり、走行中の東海道新幹線の車窓から発信した信号を神奈川県厚木市内のソニー拠点で受信したりといった実験に成功。同じデータを12回送信して受信側で波形を合成する仕組みや、データの送信中に周波数を変動させる「Chirp変調」と呼ぶ技術などで、条件の厳しい通信環境でも確実にデータを伝送する仕組みを実現している。端末にはGPS(全地球測位システム)を標準搭載する仕様とし、位置情報の確認のほか送受信のタイミングの同期に使用している。

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