海外取引のハードルを一気に低くする可能性を秘めるのがブロックチェーンの技術だ。送金コストの安い仮想通貨やデータ改ざんを防ぐ情報共有システムに役立つ技術である。ブロックチェーンが日本の企業と世界の顧客をつなぐ基盤となりつつある。

 「最初のビットコインによる入金はジンバブエからだった」。アフリカを中心に日本の中古車を輸出し、年間400億円を売り上げる中古車ECサイト運営のビィ・フォアードの木村光弘取締役はこう振り返る。

 同社は2016年7月、仮想通貨のビットコインを使って入金できるサービスを始めた。ジンバブエの購入客は、外貨規制のため米ドルを国外に送金できなかったようで「大層喜んでもらえた」(同)。ビットコインを海外取引に使う日本企業は珍しい。ビットコインの取引は月に4~5件あるという。

ビィ・フォアードによるビットコインでの中古車国際販売サービス。銀行間決済が難しい国・地域とも取引
(画像出所:ビィ・フォアード)
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 同社はアフリカや南米、オセアニアなどの個人顧客を対象に中古車をネット販売している。過去に海外取引の後払い決済で手痛い損失を被った経験から、決済は原則として前払いだ。国際送金でビィ・フォアードの国内ドル建て口座に着金したのを確認してから輸出手続きに入る。現地法人は置かず、現地に銀行口座も持たない。

 不払いや商品の持ち逃げが頻発する海外のビジネスにおいて、ビィ・フォアードは代金を前払いした顧客へ確実に中古車を届けることで、現地の消費者の信頼を得た。今では月間の輸出台数が1万2000台に達する。

外貨を持ち出せない顧客にも対応

 「外貨を国外に持ち出せずに困っている。ビットコインで支払えないか」。ビィ・フォアードがビットコインによる決済を導入したきっかけは、海外の顧客からこんな相談を受けたことだった。

 国際送金による決済は、政情によって外貨を持ち出せなくなる問題のほかにも、いくつかの問題を抱えていた。SWIFT(国際銀行間通信協会)を経由する国際送金は一般に、手数料が1件当たり4000円ほどかかる。地域によっては送金を中継する銀行が過大な手数料を別途取るケースもあり、国際送金は使いづらい。

 ビットコインであれば、仮想通貨の交換所があれば済む。顧客が中古車の代金に相当するビットコインを交換所で購入し、ビィ・フォアードのビットコイン口座に送金するだけだ。

 ビィ・フォアードはビットコインの決済代行会社から着金の連絡が来た段階で、輸出手続きを始める。ビットコインは価格が乱高下しやすいため、受け取り後は数日以内に米ドルや円など法定通貨に交換する。

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