SOMPOホールディングスグループの損害保険ジャパン日本興亜は2018年2月から全国に300拠点ある保険金の支払い担当部署に「AI音声認識システム」を導入する。2017年8月14日に発表した。同システムは、保険金支払いに関する問い合わせから支払いまでの電話応対時の音声データをリアルタイムにテキストデータに変換して解析する。通話内容の記録を自動化するため、記録作業にかかる時間が15%減らせる見通しだ。これまでは担当者がPCに手入力していた。

 テキストデータから特定のキーワードを抽出して客が怒っているか喜んでいるかなどの感情分析も可能だ。システムの構築はNTTコミュニケーションズが担い、AI技術はNTTグループが提供する「ForeSight Voice Mining」を採用した。拠点内に構築するエッジサーバーが音声データを解析する。クラウドには送らない。「レスポンスを高めるため、データは発生源の近いエッジで処理する」とSOMPOホールディングスの中林紀彦データ戦略統括チーフ・データサイエンティストは説明する。

 将来は音声データをAWS上に収集し、ビッグデータ解析して役立てる。例えば、経験豊富な担当者の電話応対を解析し、模範的な回答や受け答えを見つけて経験の浅い担当者に展開する、といった活用が考えられる。

図●SOMPOホールディングスが構築したエッジ活用の仕組み
解析はデータに近い場所で
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深層学習はクラウドより自社構築が安い

 こうした解析を進める環境として、SOMPOホールディングス、SOMPOシステムズ、NTT東日本の3社は2017年6月、深層学習を使ったデータ処理システム「エッジAIセンター」を構築した。画像や音声などの大量のデータを深層学習で解析する専用環境だ。日本IBMが提供するサーバー「PowerSystems S822LC for HPC(Minsky)」、米エヌビディアが提供する「NVIDIA Tesla P100GPU アクセラレーター」などで構成される。エッジAIセンターで構築したアルゴリズムは支払い担当部署などデータ発生源の近くで稼働させる。

 「深層学習の活用はクラウドを使うより専用環境を構築したほうがコストが安くなる」とSOMPOホールディングスの中林チーフ・データサイエンティストは話す。深層学習専用の強力な計算リソースは、クラウドサービスで借り続けるとランニングコストが高くなってしまうからだという。エッジAIセンターは同等の計算能力を持った環境をAWS上に構築する場合に比べて、5年間で約3分の2に総コストを抑えられるという。導入コストとランニングコストを合計した数字だ。