「エッジの陣取り合戦が始まる」。NECの岡山義光 IoT基盤開発本部 技術部長は武者震いする。IoTが普及すればするほど、大量のデータが発生するセンサーなどに近いエッジでデータを処理する必要に迫られる。エッジで使われる製品とサービスは今後、続々と増えるだろう。NECはエッジ分野の新たな需要を狙った陣取り合戦に挑む1社である。2017年3月にクラウドとの分散処理を想定した「エッジゲートウェイ」を出荷。3年間で2万台の提供を目指す。

表●2016年以降のエッジコンピューティング関連の主な動き
製品・サービス競争が激しく
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 スマートフォン向けプロセッサ設計で95%のシェアを誇る英アームも、エッジでのデータ処理を想定したSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「mbed Cloud」を2016年10月に提供し始めた。スマホ向けプロセッサの覇者がクラウドとエッジの競争に名乗りを上げた格好だ。mbed Cloudのパートナー契約を締結したウフル プロダクト開発本部の竹之下航洋ディレクターは「クラウドからIoT端末のファームウエアを安全に更新できる」とメリットを訴える。

 参戦する企業はセンサーやプロセッサなどのメーカー、通信事業者、クラウド事業者、ITベンダーなど実にさまざま。センサー、プロセッサ、ゲートウエイ、工作機械の制御装置、自動車──。これら全てがエッジ端末となる可能性があるからだ。

 エッジがシステムのどの範囲を指しているのかは、製品やサービスを提供する事業者によって異なる。東京大学の中尾彰宏教授は「通信事業者であればネットワークの端であるルーターやアクセスポイント付近を指す」と説明する。2017年内にも工場向けのIoT活用ソフト製品群「FIELD system」を提供開始するファナックは、産業用ロボットの近くにサーバーを構築し、これをエッジと呼ぶ。

 エッジが指す範囲が異なっていても3大メリットは共通する。「通信量の削減」「セキュリティ」「低遅延」だ。

通信コストは百分の1に

 クラウドにデータを送る通信量を減らせば通信コストの削減につながる。これが最大のメリットだ。

図●エッジコンピューティングを活用するメリット
IoTにはエッジ処理が不可欠に
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 IoT機器が取得したデータをそのままクラウドに送るのではなく、意味のある必要なデータに絞ってから送る。エッジ端末向けのミドルウエア「Gravio」を提供するインフォテリアの平野洋一郎社長CEO(最高経営責任者)は「クラウドとセンサーの中間にエッジ処理を置けば通信コストの課題を解決できる」と話す。

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