私たちの生活に欠かせなくなったショッピングセンター。天井を見上げると、数多くのカメラが設置されている。顧客の安全を守りつつ、万引き犯といった危険人物を警戒するなど、カメラは人が大勢集まる場所にはなくてはならない機器になった。

 そしてついに、衣料品店や雑貨店、飲食店などが立ち並ぶ商業施設内のテナントのほぼ全てをカメラで撮影するという、国内初の大胆な試みまで始まった。2017年11月にパルコが東京・上野に開業した「PARCO_ya(パルコヤ)」だ。

全館に230台のカメラを据えて開業

 館内に設置したカメラの総数は約230台。しかし、これらは通常の監視カメラとは異なる。約60店のテナントの客層分析に用いる「顔認証カメラ」が、各店に1台ずつ。それとは別に、テナントごとの来店者数を測る「カウントカメラ」を店舗の入り口の数に応じて1台から数台設置した。2種類のカメラを合計すると、約230台になる。

 これらのカメラはパルコがパルコヤを開業するに当たって、あらかじめ取り付けたテナント向けサービスの一環だ。テナントは現在、無償で利用している。

テナントに入店した顧客の性別や年代を推定し、店舗のコンセプトや品ぞろえ、陳列の見直しに役立てる
(出所:ABEJA)
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パルコヤに設置したカメラ
(出所:パルコ)
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 パルコヤに出店したほとんどのテナントにとって、カメラを使った来店者数や顧客属性の分析は初体験。果たして、どんなことが分かるのか。2017年12月以降、毎月一度の店長会議では必ず、カメラを使ったテナントの分析結果の例を共有している。普段は1時間ごとに来店者数などの情報が更新され、各テナントは自店の状況をウェブやスマートフォンで確認できる。

毎月の店長会議でカメラを使った分析結果の使い方を共有している
(出所:パルコ)
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 テナントの店長によって利用頻度や興味に温度差はあるものの、概ね好評だという。これまで勘と経験で店作りをしてきた店長に突きつけられる毎日の来店者数や顧客属性の数字は、店長の肌感覚に合うものもある。一方で「ウチの店にはもっと若い人たちがたくさん来ていると思っていた」といった分析結果とのギャップを口にする店長もいる。

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