働き方改革を巡る議論は尽きない。ここ1年で長時間労働の削減や生産性向上に取り組むIT企業、ITチームが目に見えて増えた。

 もちろん、長時間労働の削減は大事だし、業務効率を高めることも大切だ。今まで日本の職場は歯止めがなさすぎた。ケジメなく、毎日仲良くダラダラ残業。制度によるレフェリーストップは必要である。

 ただ、それだけで十分だろうか。若手のメンバーからはこんな嘆きの声が聞こえてくる。

「仕事の量は前と変わらない」

「家に仕事を持ち帰っているだけ」

「もっと先進技術を生かせる仕事をしたい」

「今の仕事は成長を実感できない」

残業が見かけだけ減っても本当の働き方改革とは言えない
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 これらの不満は、残業の削減だけで解消できるものではない。見かけだけ残業時間を減らすような「働き方改革ごっこ」に、若手のITエンジニアはうんざりしている。チームリーダーが状況を放置すれば、若いメンバーはフラストレーションをため込み、疲弊する。結果として優秀なメンバーを失いかねない。

 経済産業省は2016年6月の報道発表で、2030年には最大でおよそ79万人のIT人材が不足すると推計している。これは、ITへの需要の拡大ばかりが原因ではない。働き方がめちゃくちゃで、成長も実感できない。顧客(ユーザー)からはコスト扱いされる。そんな職場で誰が働きたいと思うだろうか。ITエンジニアの働き方に魅力がないのだ。筆者の率直な感想は「何をいまさら」なのだ。

 これは経営者任せにしておけばよい問題ではない。優秀な人材があなたの職場に入ってこなければ、あなたはいつまでも雑務から解放されない。新しいチャンレジもできなければ、面白い仕事もできない。他人事ではないのだ。

 この状態から抜け出すために、現場のITエンジニアは何をすればよいか。答えはシンプルだ。自分たちが得する働き方は何かを真剣に考え、実践することだ。人は、自分が得することは喜んで取り組める。実際、ITエンジニアが得する働き方改革を実現した現場では、景色が徐々に変わっている。

ポジティブな仕事を書き出す

 では、自分たちが得する働き方改革とはどんな状態だろうか。答えは1つではない。組織も職場も生き物。職種や集まるメンバーによって個性、考え方、心構えが異なる。何が得で何が損かは違って当然だ。

 とはいうものの、現場が得する働き方改革には確かな鉄則がある。ネガティブな仕事を減らし、ポジティブな仕事を増やすことだ。

 人はポジティブな仕事をしているときの方が生産性は3~5倍も高いといわれる。主体性を発揮しやすく、働きがいを感じられるからだ。そこで何がポジティブな仕事で、何がネガティブな仕事か、チームで話し合って書き出してみよう。

ポジティブな仕事とネガティブな仕事を書き出す
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 ポジティブな仕事であれば、「新しい技術をもっと試したい。検証環境を立ててみよう」「固定席だと頭が固まって良いデザイン案が思いつかない。フリーアドレスにしてどこでも作業できるようにしたい」といった意見が出てくるだろうか。

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