クラウドベンダー各社は2018年、AI(人工知能)やコグニティブシステム(人間が経験と知識に基づいて問題を解決する過程を、コンピュータで実現するシステム)を本格的に活用するフェーズに入った。IaaS(Infrastructure as a Service)のコモディティ化が進んできたことを受け、コンテナやサーバレス、AIや機械学習などのさらに上位レイヤーに位置するサービスの展開に力を入れるようになった。

 調査会社のIDC Japanが2017年12月14日に発表した「2018年 国内IT市場の主要10項目」では、「コグニティブ/AIシステムは普及期に入った」と明記。2018年には2017年の2倍に市場が拡大すると予測している。

 IDCによると、コグニティブ/AIシステム市場は、2017年の国内市場ではブームとも言える状況であったものの、POC(Proof of Concept:概念実証)が大多数を占め、実際のビジネスに対する適用は少数にとどまっていたという。それが2018年以降には、AIの効果的な適用領域が見つけ出され、本格導入フェーズに移行すると見込んでいる。

 実際、Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services」(AWS)、Microsoftの「Microsoft Azure」(Azure)、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)、IBMの「IBM Cloud」といった主要クラウドサービスにその動きが顕著に現れている。AIや機械学習の機能を実装したクラウドサービスの機能を充実させており、ここを主戦場としたシェア獲得競争が加熱している。

二つに大別できる機械学習のクラウドサービス

 機械学習のクラウドサービスは、大きく二つに大別できる。具体的には、「ユーザー自身が独自にカスタムモデルを生成可能な機械学習のモデル」(以下、カスタム生成可能モデル)と、「各クラウド事業者があらかじめ、音声認識や画像認識などの大量のデータを学習させるモデル」(以下、学習済みクラウドモデル)である。

 カスタム生成可能モデルを提供するクラウドサービスには、

  • Amazon Machine Learning および Amazon SageMaker
  • Azure Machine Learning
  • Google Cloud Machine Learning
  • IBM Watson Machine Learning

などがある。

 上記サービスでは、ユーザー自身が独自のカスタムモデルを設定でき、応用分野が広い半面、データ分析のできる人材の確保が必要になるなど難易度は高い。その一方で、学習済みクラウドモデルを提供するクラウドサービスでは、ユーザーがゼロから学習モデルを生成する必要はない。自社のビジネスで活用するまでの時間を大幅に短縮できる。

 こういった背景から、学習済みのクラウドモデルのAIが、これまで利用頻度が高かった仮想マシンやデータベースに継ぐ規模で、企業に浸透していくという期待が高い。既にAWSやAzure、GCP、IBM Cloudなどが学習済みのクラウドモデルのAIとして、多くのユーザーが利用する頻度が高い音声認識や画像認識、自然言語処理、自動翻訳、動画認識・分析などをAPI(Application Programming Interface)経由で提供している。

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