現在でもニーズがあるISDNが終了するのは、PSTNがIP網へ全面的に移行するためだ。なぜ移行する必要があるのか。移行はどのように進むのか。ISDN終了の背景と移行のスケジュールを解説する。

交換機が通信相手との間を結ぶ

 まずは現在のPSTNの構成から見ていこう。PSTNには、家庭や企業からの加入者線を収容する群局と、それらの局から県内や県外への通信を中継する県内中継局がある(図1)。群局は市町村に1~数カ所、県内中継局は都道府県単位で設置されている。

図1●現在の電話網の構成
家庭や企業からの加入者線を収容する加入者交換機、県内や県外に通信を中継する中継交換機で構成されている。
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 このうち、群局には加入者交換機が、県内中継局には中継交換機が設置され、これらの交換機が発信側と受信側の間に1本の回線を設定する。この回線を占有して両者が通信する仕組みだ。このような通信方式を回線交換方式と呼ぶ。

 例えば、県外へ電話をかけるときは、まず加入者交換機が宛先の電話番号の情報を受け取り、県外の電話番号であるため中継交換機につなぐ。中継交換機は中継網を通して他県の中継交換機に接続。中継交換機は宛先の端末がある市内の加入者交換機へつなぎ、配下にある宛先の端末に着信する。こうして発信側と受信側が回線で結ばれる。

 現在使われている交換機は「新ノード」と呼ばれるタイプ。新ノードの機器は高機能化が図られている。例えば新ノードの加入者交換機であるASMは、旧来の交換機とISDN用加入者収容装置の両方の機能を1台で実現できる。2015年には既存の交換機は新ノードにほぼ置き換わった。

 だが、この新ノードの保守も2025年には難しくなる。「すでに2015年度に新規調達は終了している。交換機の維持は2025年ごろが限界」(NTT東日本 経営企画部 中期経営戦略推進室 担当課長の新國 貴浩さん)という。固定電話の契約数も減少傾向にある。そこでNTTは、新たな仕組みのバックボーンへの移行を決めた。

▼中継交換機につなぐ
交換機が次の交換機に接続する際、どの回線からの発信で、どの電話番号宛てのものかを通知する信号を送る。これを共通線信号という。共通線信号は通話回線とは別の網である専用の共通線信号網で伝送される。この共通線信号網で発信側から着信側までの回線を設定した上で、通話回線をつないでいる。
▼新ノード
新ノードの加入者交換機には、回線交換の接続処理とパケット情報の転送処理を担う「ASM」、ASMに接続される加入者収容装置である「SBM」、加入者をSBM設置局へ遠隔収容するための装置である「RSBM」がある。
▼旧来の交換機
既存ノードと呼ぶ。加入者線交換機である「D70」や、D70に加入者を遠隔収容する「RT」などがある。
▼ISDN用加入者収容装置
ISM (I-interface Subscriber Module)と呼ぶ。

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