日経ソフトウエア編集長 久保田 浩

 2020年に小学校でもプログラミング教育が必須化されるということで、プログラミング教室が盛り上がっている。プログラミング教室には、やはり小さな子を持つ親御さんから、「ウチの子もプログラミング教室に通わせたほうがいいのでしょうか?」という相談が多く寄せられているという。

 親たちは子ども教育のためと思って、そうした相談をしている。そうした相談の裏側には、「プログラミングで論理思考が育つ」「IT社会ではプログラミング的思考は必須」――といった世間の論調があるように思う。

 だが本当に、プログラミングで論理思考は育つのだろうか。

 ここ最近、時折、プログラミング教室を取材させてもらっている。実際に自分の目で、子どもたちがどんな雰囲気でプログラミングをしているのかを見たいと思っているからだ。

 都内の繁華街にあるターミナル駅から、歩いて10分ほどの雑居ビルにあるプログラミング教室で取材させてもらった。まだ夕方と言うには早い時間だが、ランドセルを背負った子どもたちが、集まってきていた。

 その日、その教室では、子ども向けのプログラミング言語「スクラッチ」を使った授業を見させてもらった。授業といっても、教壇にいる先生の言葉を熱心に聞いたり、黒板に書かれたことをノートに書き留めたりというものではない。どちらかというと、子どもが自由にプログラミングを楽しんでいるのを、先生がサポートする程度にそばにいる、というものだ。

スクラッチの画面。これはスクラッチにあらかじめ用意されているサンプルのゲーム
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 生徒は小学校低学年の子どもたち。勝手気ままにパソコンやタブレット端末を使って、自分の作品を作っている。まだ時間が早いせいもあり、生徒の子どもは二人だけ。小学4年生の女の子と男の子だ。二人はそれぞれ、スクラッチを使って自分なりのゲームを作っていたのだ。

 「これはどんなゲーム?」と女の子に聞いてみる。普段教室にいない大人(私のこと)がいるので、子どもらはそれなりに意識をしており、私の質問に対して得意げに説明を始める。そのゲームは横スクロール型のゲームで、スーパーマリオのような感じの作品だった。その子はかなり本格的なゲームを作っていた。おそらく普通の大人は、何面もクリアできるように設計されたそのゲームを見たら驚くのではないだろうか。

 だが、ここで私が驚いたのはそれだけではない。そのゲームを作った本人(女の子)は、「ゲームバランスがまだ悪いんだよね」などと言いながら、自分でプレイしたり、もう一人の男の子に試遊させて感想を聞いたりしているのである。つまり、ゲームを作りながら、自分できちんとそのゲームに対する反省までしているのだ。

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