東京国際空港(羽田空港)の国際線旅客ターミナルビル2階にある到着ロビー。天井を見上げると、形も大きさも異なるカメラがあちこちにぶら下がっていた。空港に監視カメラが設置されているのは当たり前。気に留める人は少ないようだ。ただ、頻繁に羽田空港を利用する人なら、2017年12月には「監視カメラの台数がやたら増えたなあ」と思ったかもしれない。

羽田空港の国際線到着ロビーの天井に取り付けられた監視カメラ。ほかにも多数のカメラが設置されていた
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 年が変わり、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京五輪)の開幕まで、2年半に迫った。国も自治体も企業も2020年をターゲットにして、画期的なサービスの提供などを目指してロードマップを描いている。2018年は実現に向けた現場検証が盛んに行われる年になるだろう。残された時間は少ない。

 車やバス、タクシーなどの自動運転は、新技術の象徴といえる存在だ。筆者もワクワクする。世界中の人々が日本に熱い視線を注ぐ2020年に、いかに「技術立国、日本」の存在をアピールできるか。国と企業の威信を懸けた開発競争は、一段と加速する。

 自動運転のような夢のあるテクノロジーに注目が集まるのは当然のこと。ただ、日本にはほかにも、世界に誇れるものがまだまだたくさんある。その1つが「安全な国、日本」だ。

 東京五輪は、世界中から日本に観光客やビジネスパーソンを呼び込む絶好のチャンス。巨大都市・東京の「治安の良さ」というメッセージも同時に発信していきたい。こうした安全・安心を担保するための国や企業の取り組みも活発になってきた。過熱する安全対策の1つが、日本の玄関口に当たる国際空港の警備強化である。

 国を挙げたセキュリティの問題で、真っ先に手を付けなければならないのがテロ対策だ。日本もテロの危険性から無縁ではない時代になってしまった。

 しかも最近は、警備が厳重ではない不特定多数の「ソフトターゲット」を狙ったテロが目立ち始めている。なかでも空港ロビーを標的にしたテロが世界中で相次いでおり、空港警備は東京五輪に向けた喫緊の課題だ。空港ロビーの天井に監視カメラが増えても不思議ではない。

 飛行機に乗る前の手荷物検査場を通過する手前の空港ロビーは、誰でも自由に立ち入れる。それだけに警備は困難を極める。2016年にはベルギーとトルコでそれぞれ、空港ロビーを狙ったテロが実際に起きた。多数の犠牲者が出たのは記憶に新しい。

 もし東京五輪の開催前や大会期間中に日本の空港でテロが起きれば、大混乱に陥る。そこで国土交通省は空港ビル内の一般エリアの警戒を強化すべく、「先進的警備システム」の実証実験を、2017年末に実際の羽田空港ロビーで約2週間(12月2~19日)実施した。

羽田空港に貼り出された「先進的警備システム」の実証実験を告知するポスター
(出所:国土交通省)
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 参加したのは、警備大手のセコムとALSOK(綜合警備保障)に加え、ITを駆使した警備機器やシステムなどを開発・運用してきた実績がある東芝インフラシステムズやNEC、パナソニック システムソリューションズ ジャパン、日立製作所、三菱電機、兼松の8社。今回の実験では、国交省が空港ロビーという実際の現場をフィールドとして、複数の参加企業に同時に提供したことが大きい。

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