「『渋谷さん、データサイエンティストはもう要らなくなるらしいよ』。社内でそんな話を聞いて、本当だろうかと話半分で詳細を聞いてみたところ、その内容に衝撃を受けた」。

 そう語るのは、日本航空(JAL)でデータサイエンティストとして活躍するWeb販売部 1to1マーケティンググループの渋谷直正氏。主担当であるWebサイトにおけるマーケティングのみならず、JAL社内のさまざまなデータ分析を支援し、日経情報ストラテジーの「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」にも選出された人物だ。

 その渋谷氏が「衝撃を受けた」とするのは、NECがAI(人工知能)技術群の一環として開発した「予測分析自動化技術」と呼ぶ機能である。2017年夏から秋にかけて、JALのWebサイトの訪問者を対象にした実証実験を実施した。

JALの渋谷氏(左)とNECの藤巻氏
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専門家と同程度の精度で、地道な作業を自動化

 具体的には、「過去3カ月に国際線の航空券を購入したマイレージ会員のうち、ハワイ行きの航空券を購入する会員の予測」と「過去1カ月にJALのWebサイトを訪れた全ての会員のうち国内線航空券を購入する会員を、アクセスログだけを基に予測」という2種類の分析をAIで実行し、渋谷氏らデータサイエンティストが同一条件で分析した結果と比較する内容だ。

 AIとデータサイエンティストのそれぞれの分析結果を比較すると、AIによる分析の精度はデータサイエンティストによるそれとほぼ同程度に到達していることが分かった。ただ、渋谷氏が衝撃を受けたポイントはそこではない。今までデータサイエンティストが地道に処理しなければいけなかったある作業を、このAIはいとも簡単に自動化したからだ。

 その作業とは、「アクセスログだけで月間2億ページビュー」(渋谷氏)と膨大にあるデータの中から、抽出したい結果に関係しそうな項目に目星を付け、データセットを作成する作業だ。例えば今回の実証実験では、このAIは「直近42日間の搭乗マイルが多い会員はハワイ行きの航空券を買いやすい」「直近28日間に欧州へ渡航した会員はハワイ行きの航空券を買いにくい」といった傾向を提示した。

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