インターネットへの「信頼」が、数年前と比べてますます失われている――。あくまで筆者の個人的な感覚だが、そんな思いを強くしている。

 まずWebサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのコンテンツ。「『みんなの意見』は案外正しい」の原理に基づき、集合知でコンテンツの信頼性を保つ枠組みが、フェイク(偽)ニュースやステルスマーケティング(ステマ)の大量投下により破壊されつつある。医療や健康、教育などの領域では、根拠の乏しいサイトやステマサイトを検索結果から排除するのが難しくなっている。

 人と人をつなげるネットの機能が、犯罪行為を助長するケースもある。SNSなどに起因する児童買春や児童ポルノなどの犯罪被害に遭った児童数は、2016年に国内過去最多の1736人となった。これは、出会い系サイトの児童被害がピークを迎えた2003年の1278人より458人も多い。

図●コミュニティサイト及び出会い系サイトに起因する事犯の被害児童数の推移
(出所:警察庁 平成28年におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について 資料1)
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 このうちTwitterでの被害が最も多く、約4人に1人となる446人。続いてアップランドの出会い系アプリ「ぎゃるる」の136人、LINEの124人と続く。

 かつて2003年ごろには出会い系サイトが、2010年ごろにはミクシィやグリー、ディ・エヌー・エー(DeNA)などのSNSが青少年の犯罪被害の温床になった。現在は被害の温床がスマートフォンアプリに移り、かつ被害が大規模化している。

 ネットの向こう側にいるユーザーが誰なのかという、本人確認や認証への信頼も失われつつある。

 違法売買で入手した複数のSIMカードの電話番号をフリーマーケット(フリマ)アプリに登録し、盗品を売りさばくケースが相次いでいる。この場合、電話番号から出品者を特定するのが難しくなる。

 ネットバンキングの不正送金被害も依然として解消されない。警察庁によると、2017年1~6月の国内ネットバンキングの不正送金の被害額は約5億6400万円。ワンタイムパスワードの採用といった対策が進んだこともあり、前年同期に比べて約3億3000万円減った。だが、ワンタイムパスワードを偽画面から入力させる新種ウイルス「DreamBot」が登場するなど、対策と新たな脅威とのいたちごっこは続く。

対策に乗り出した企業

 偽ニュースやステマ、児童被害、ID窃盗…こうした問題に、スマホ時代の新興ネットサービス企業が対策に乗りだしている。いずれも、警察などの当局やマスメディアの論調に単純におもねるのではなく、サービスの利便性と社会問題の解消を両立させる独自の解決策を見出そうとしている。

 フリマアプリ運営のメルカリは2017年10月12日、盗品の出品など違法行為・規約違反行為への対策として、初回の出品時に住所・氏名・生年月日の登録を必須にすると発表した。年内に実施する。

 「利便性を阻害せずに本人を確認する、一番バランスの良い形を考えた」とメルカリの山田和弘執行役員は語る。

メルカリの山田和弘執行役員
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