「とりあえず動くものは数日で作れたものの、そこからが一筋縄ではいかなかった」――。人材派遣大手であるパソナグループは2017年6月、働き方改革を進めるため、社内システムのサポートデスク業務にチャットボットを導入した。導入プロジェクトを振り返り、同社の渡邉篤志グループIT統括部ビジネス推進グループデジタルイノベーションチーム長は、記者にこう語った。

パソナグループのグループIT統括部に所属する椎名司ビジネス推進グループ長(左)と渡邉篤志ビジネス推進グループデジタルイノベーションチーム長
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 運用を開始してから約3カ月が経過し、渡邉氏は「チャットボットは働き方改革に役立つ」という確かな手応えを感じている。 その一方で、成果を出すまでには苦労が少なからずあったと打ち明ける。その実感がこもっているのが冒頭のコメントだ。

 渡邉氏がサポートデスク業務にチャットボットを適用しようと思いついたのは、2016年秋のこと。ユーザー企業同士の意見交換会で、ITサービスの自動化について検討したのがきっかけだった。

 「IT部門のサポートデスクに寄せられる様々な問い合わせをチャットボットが自動的に応答して解決できれば、部員の業務負荷を大きく下げられる」。こう渡邉氏は期待した。同じ時期、パソナグループ全体で打ち出した「人工知能(AI)などのITを生かして働き方改革を目指す」という方向性も背中を押した。

 渡邉氏は社内承認を受け、実現する候補技術をいくつか検討したうえで、2017年3月にシステム開発に取りかかった。問い合わせをやり取りするチャットのユーザーインタフェース(UI)には米マイクロソフトの「Microsoft SharePoint」を、バックエンドには同じくマイクロソフトのボット開発のクラウドサービスである「Microsoft Bot Framework」などを採用した。

パソナグループがITのサポートデスク業務で運用するチャットの画面
(出所:パソナグループ)
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 冒頭のコメントの通り、チャットボットのシステムは「動作する」レベルであれば、日本マイクロソフトの協力もあって数日で作成できた。だが、サポートデスクの業務に適用できる水準に高めるには、渡邉氏ともう1人がかかりきりで約3カ月を要した。

 時間がかかったのは、2つの課題に直面したためだ。1つは、初めのうちはチャットボットのシステムがユーザーの問い合わせ内容を高い精度で理解しなかったこと。もう1つは、チャットボットの回答内容を定義しにくいケースがあったことだ。

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