ベンチャー企業にカネが回っている。IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けの通信や端末管理といったサービスを手掛けるソラコムを、KDDIが200億円とも言われる金額で買収すると発表。名刺管理クラウドサービスのSansanは2017年8月7日、未来創生ファンドやDCM Venturesなどから、約42億円の資金調達を実施したと発表した。

 調査会社のジャパンベンチャーリサーチによると、2016年の未公開ベンチャー企業の資金調達額は前年比で2割余り多い2099億円。1社あたりの調達額は平均2億9610万円で、2006年以降の最高額を記録した。多産多死がベンチャー企業の常である以上、億単位の資金調達に成功しているベンチャーは一握りだが、カネの出し手にとっての魅力が増していることは確かなようだ。

 実際、ベンチャー企業と組みたいと考える大企業が増えている。オープンイノベーションの名の下、様々なベンチャー企業と協業し新たな技術やアイデアを取り込んで自社事業を変革したい。こんな思惑を持った大企業は多い。ベンチャー企業にとっても、知名度向上や顧客網の開拓に大企業の力を借りることができ、成長期待が高まる。オープンイノベーション気運の高まりは、資金調達額の上昇と無縁ではないだろう。

「同業他社と組むな」はNG

 オープンイノベーションに最も積極的な業種の一つが金融機関。FinTechブームの高まりを受け、大手銀行を中心に「昨年までオープンイノベーションの組織をつくるケースが増えた」(アクセンチュアの中野将志執行役員金融サービス本部統括本部長)。影響は他の業界にも波及。協業専用スペースを設ける不動産会社のほか、ベンチャー企業とのマッチングイベントを開いたり自社との協業を希望するベンチャー企業を公募したりする企業も目立つようになった。

 オープンイノベーションに沿って大企業とベンチャー企業の協業が進むのは、記者も歓迎している。大企業だけでは解決するのが難しい、事業の課題や社会的な問題に解決の道筋を付ける可能性があるからだ。

 例えばヤマトホールディングス(HD)は7月、印刷や物流サービスのラクスルとの資本提携を発表した。ラクスルはシェアリングエコノミーの仕組みを利用した効率的な物流サービス「ハコベル」を手掛ける。ヤマトHDはラクスルの知見を生かし、「荷主・納品先企業と物流事業者の双方が抱える課題を同時に解決できるオープン型の物流プラットフォーム」(同社)を共同開発。人手不足や物量増加に直面している「宅配ピンチ」を解決する突破口の一つにしたい考えだ。

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