デジタル変革に取り組むユーザー企業が増えている。「デジタル戦略部」「IoT(インターネット・オブ・シングズ)推進室」といった組織を設立し、収益拡大や顧客サービス向上に先進ITを活用しようと躍起だ。

 ただ、組織を作っただけでデジタル変革プロジェクトがすんなり進むわけではない。問題になりがちなのは人材だ。デジタル変革に求められるスキルは、これまでの企業システムの構築に必要な能力とは異なるからである。

 従来のシステム開発では、ユーザーから要件を聞き、確定した仕様通りにシステムを構築するスキルが求められた。しかし、デジタル化プロジェクトの進め方はそうではない。デザイン思考や、チームに分かれてアイデアを出し合う「アイデアソン」などの手法を用いて事業アイデアをユーザーと共に考案。PoC(概念実証)と呼ばれる実験を繰り返しながら徐々に完成させるのが良いとされる。

 デジタル化を推進するためのスキルやノウハウを持つ人材、すなわちデジタル人材を中途採用で確保する企業も少なくない。ただし、優秀な人材はどの業界でも引っ張りだこ。少なからず社内人材を育成し直す必要がある。

 一方、顧客企業のデジタル変革を支援するIT企業にとっても、人材育成は焦眉の急。SEに対してデジタル化推進のための新しいスキルセットを学ばせ始めている。

 富士通が2017年11月に発表した新しい職種である「デジタルイノベーター」はその典型だろう。同社は2020年までに、これまでのSEとは異なるスキルを持つデジタルイノベーターを1200人育成するとした。

 実際、富士通はどのようにしてデジタルイノベーターを育てるのか。その取り組みを分析すると、ユーザー企業が次世代IT人材を育成するポイントが見えてきた。

半年の「ブートキャンプ」で再教育

 富士通のデジタルイノベーター育成プログラムの名称は「デジタルブートキャンプ」。軍隊の新兵訓練になぞらえ、1.5カ月の集合研修と4.5カ月のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の合計半年間のプログラムでSEを再教育する。第1期は2017年7月から開始。同年12月に56人が卒業した。2018年1月からデジタルイノベーター1期生として実ビジネスで活躍し始めたところだ。

富士通の「デジタルブートキャンプ」の概要
(出所:富士通)
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 デジタルブートキャンプは大手IT企業の社内研修としては非常にユニークな試みを含んでいる。具体的なカリキュラムの流れを紹介しよう。

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