「現在のヤフーは、海外のテックジャイアントと競争が激しくなる一方で、国内で気鋭の若手ベンチャーに突き上げられ、両挟みになっている」。ヤフーの次期社長に就任する川邊健太郎・現副社長は、2018年1月に開いた社長就任発表の会見で、自社が置かれた状況をこう表現した。

 発言で興味を引いたのは、国内でヤフーを突き上げているという「気鋭のベンチャー」に対する川邊副社長の見方だ。

社長就任の会見でヤフーの川邊健太郎社長(右)はベンチャーとの競合状況を分析した。宮坂学現社長(左)とともに登壇
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 川邊副社長は2017年12月、起業家や投資家が参加するカンファレンスに登壇して「ベンチャーの強みを生かした大企業の倒し方」を起業家らに語った。ニュースキュレーションで「Yahoo!ニュース」と競合するスマートニュースや、個人間の中古品流通で「ヤフオク!」を脅かしているメルカリなど、大企業のヤフーにとって「ベンチャーにやられて嫌だった」経験を踏まえたものだ。

 ベンチャーが取るべき戦い方として川邊副社長が最初に挙げたのは、経営資源を局地戦に集中的に投下することだ。

 中古品流通を例に取れば、ヤフオク!は個人間の売買からショップによる新品販売までを広くカバーすることで事業を成長させてきた。価格決定だけを見ても、入札方式から即決価格の指定まで、様々な機能を一つのサービスに盛り込んだ。

 対するメルカリは個人間の売買に特化した。価格決定も入札方式は採らず、売り手が価格を指定する「フリーマーケット(フリマ)」の取引形態に特化している。個人に向けてサービスの使い勝手を高めることに開発リソースを集中させた。川邊氏が具体的に言及したわけではないが、メルカリの事例は局地戦で大企業に対抗した好例といえるだろう。

 重要なことは局地戦の場所をどこに選ぶかだ。先行する企業ががっちりと握る市場の外側には、たいていは掘り起こせていない潜在的な市場やユーザー層がいる。中古品流通市場での攻防から、成功している後発のベンチャーはこの潜在市場をどう発見して、経営資源を集中させる主戦場に定めてきたかをたどってみよう。

「より高価格」よりも「手軽さ」が重要

 多数の売り手と買い手をネット上で結び付けて、入札で合理的な価格を決定する。売り手と買い手の双方にとって最も経済的な合理性がある仕組みだ――。

 こう信じられてきたネットオークションをフリマが揺さぶっている。フリマの先頭ランナーはメルカリで、ヤフオク!が攻勢を受けている。

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