個人向けフリーマーケットサービスを提供するメルカリは2017年12月22日、外部の企業や研究者との協業に焦点を当てた研究開発組織「mercari R4D(アールフォーディー)」を設立したと発表した。2018年から、シャープのほか、慶応大学の村井研究室、東京大学の川原研究室など大学の5つの研究室を加えた6つの組織と共同研究を進める計画だ。

 mercari R4Dで取り組む研究テーマは、メルカリのサービスへの応用が早そうなブロックチェーンを使う信頼性向上技術から、本業との関わりが見えにくい無線給電技術のオフィス適用、量子アニーリング技術の応用まで幅広く設定した。いずれのプロジェクトも中期で社会実装を目的にしている。

 山田進太郎会長兼CEO(最高経営責任者)は「3~5年をメドに社会実装することを目標に置いたテーマを選定した」と説明。毎年の予算は未定だが、初年度の研究予算は数億円になるいう。

会見で登壇したメルカリの山田進太郎会長(左から5番目)と共同研究パートナー、支援役のシニアフェロー
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 日本でのインターネットの基盤技術開発や導入で足跡を残してきた慶応大学の村井純教授や、人工知能などの開発開発のほかデジタルアートも手掛ける筑波大学の落合陽一准教授ら、著名な研究者をパートナーに選んでいることも特徴的と言える。

 研究パートナーのほか助言やメルカリ自身が取り組む研究開発を支援する「シニアフェロー」も招へい。IoT(インターネット・オブ・シングズ)分野のシニアフェローには、さくらインターネットのフェローでIoTベンチャーの支援などにも取り組んでいる小笠原治氏が、サービスや課題解決など幅広いデザインではスプツニ子!氏が就任した。

 共同研究のテーマは、シャープとは「8Kを活用した多拠点コミュニケーション」、慶応大学の村井教授とは「ブロックチェーンを用いたトラストフレームワーク」を設定。筑波大学の落合純教授とは「類似画像検索のためのDeep Hashing Network」など画像分析に関する3分野を設定した。8K映像を個人間取引のコミュニケーション手段ととらえれば、いずれもメルカリ本業に適用しやすい分野だ。

 一方で、本業との関わりが見えにくい研究テーマも設定されている。東京大学の川原圭博准教授とは「無線給電によるコンセントレス・オフィス」、京都造形芸術大学のクロステック研究室とは「Internet of Thingsエコシステム」、東北大学の大関真之純教授とは「量子アニーリング技術のアート分野への応用」を共同研究するという。いずれも社会実装する場合は、現在の本業から離れた新規事業になりそうだ。

 大関純教授は「量子アニーリング技術を使えば、メルカリが運送会社に替わって最適な配送計画を作れるようになる」と語るなど、「アート分野」以外の応用も示唆している。