野村総合研究所(NRI)は2017年11月29日、情報通信技術(ICT)やメディア市場のトレンド予測をまとめた「ITナビゲーター2018年版」を発表した。このうち日本国内のシェアリングエコノミーの市場規模について、2017年の約2660億円から2023年には約9400億円まで3.5倍に拡大すると予測。なかでも、個々の人のスキルや時間、労働力をシェアするサービスが市場の成長をけん引するとした。

NRIの中尾実貴コンサルタント
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 シェアリングエコノミーをシェアの対象物により「モノ」「スペース」「人」に分類した内訳について説明した。構成比が最大なのは「モノ」。市場規模は2017年の推計値で約1453億円から、2023年の予測値で4702億円へと3.2倍に拡大する。一方「人」は2017年時点で384億円と比較的小さいが、2023年には2122億円へと5.5倍に拡大し、3分類の中で最も伸び率が高いと予測する。「スペース」は2017年の824億円から2023年には2575億円に拡大すると予測する。NRIは今回の予測において、資金調達や流通など「カネ」にまつわるシェアリングサービスは集計対象外としている。

日本国内のシェアリングエコノミーの市場予測
(出所:NRI)
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 一般消費者へのアンケート調査を基にしたシェアリングサービスの利用経験や今後の利用意向についても、「人」は現時点の利用経験率は3.6%にとどまるが、今後の利用意向率は5.5%と3分類で最も高くなっている。「『人』のシェアリングの中でも家事代行や観光・旅行ガイドへのニーズが強い」(中尾実貴コンサルタント)。

シェアリングサービスの利用経験と利用意向
(出所:NRI)
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 一方でシェアリングエコノミーの拡大に向けては、サービスに必要なITプラットフォームが課題になっているとする。「シェアリングエコノミーの普及で先行する中国に比べると、日本では代行・補完サービスや予約・問い合わせ・マッチングなどのプラットフォーム、個人認証や決済などの技術基盤が一気通貫になっていない。複数のサービス提供事業者の間で機能の連携・補完を進めるほか、個々の機能をつなげるインタフェースを統一・標準化する必要がある」(中尾氏)と指摘する。