三菱電機は2017年11月20日、将来の駅や車両のコンセプトを発表した。ゲートのない自動改札システムや、駅構内の利用者の位置を追跡して駅員の業務を支援するシステムなどを提案し、試作したシステムを報道陣に公開した。鉄道事業者の反応を見ながら技術開発を進め、2025年以降の実用化をめざす。空港やオフィスなどへの応用も視野に入れる。

 ゲートのない自動改札システムは、「誰もが簡単に通れるようにする」ことをめざして試作した。改札システムの床には進む方向を案内する光のガイドがある。利用者がそのガイドに沿って歩くことで、有効なICカードを持っているかどうかを判定する仕組みになっている。突起物がないため車いすやベビーカーの利用者でも通行しやすい。

 有効なICカードを携帯して通行すると床面のガイド用のライトが青色に変わり、利用者に通行できることを知らせる。通行できない場合はガイド用ライトが赤色に変わり、床面に停止のマークを表示する。

有効なICカードを持っているとガイド用のライトが青色に変わる
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 ICカードをタッチせずに利用できるように、無線通信機能付きの専用カードケースに入れて床下の装置と通信する仕組みにした。通信方式は「研究開発中のため非公開」(三菱電機)とする。単位時間当たりの処理速度は十分に速いが、通信の感度が課題という。今回の試作機ではパンツのバックポケットにカードケースを入れる必要がある。

利用者がICカードを持たずに通ると通行できないことを通知する
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 駅員の業務を支援するシステムは、駅構内に死角がないように配置したカメラで利用者の位置を追跡する。駅員がタブレット端末で情報を閲覧できるようにする。利用者が改札を通過した時にカメラで撮影し、車いす利用者や視覚障害者などを画像認識で判別する。駅員は支援が必要な利用者の顔写真をタブレットで確認でき、「確認に行く」と操作するとその情報が他の駅員にも共有される。駅員が介助活動を円滑にできるようになる。

駅の利用者の位置を追跡するシステムも試作した。駅員がタブレット端末で利用する想定
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 このシステムを改札の不正通過の抑止にも利用する。ゲートなしの改札は、ゲートがある場合に比べて不正な通過が容易になってしまうためだ。不正通過した恐れのある利用者の位置を画面上で表示し、改札通過時の写真も駅員が確認できるようにする。不正の疑いがある利用者を見逃さず検知できることを抑止力にする。