ラクーンは企業間後払い決済サービス「Paid」に、人工知能(AI)による与信審査を導入すると発表した。2018年初頭に商用サービスで提供を開始する。同社の羽山純取締役技術戦略部テクニカルディレクターは「長い場合で2営業日掛かっていた与信審査を、最短数秒で完了できるようにする」とアピールする。

 Paidは企業間での掛け売りを仲立ちするクラウドサービス。売り手側企業がPaidに請求データを送信すると、Paidが買い手側企業への請求業務を代行する。遅延や未払いがあった場合は、Paidが売り手に対する代金支払いを保証する。売掛金の未払いを保証する形態のため、与信審査が欠かせない。特に保証の限度額を引き上げる場合には、詳細な審査が必要になる。

(出所:ラクーンの「Paid」)
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 従来は人手により、帝国データバンクや商工リサーチなどの信用調査、外部のブラックリスト、Web検索による評判調査を総合的に判断していた。AIによる与信審査ではこの作業を自動化する。

 AIシステムはオープンソースの深層学習フレームワーク「TensorFlow」を利用して自社開発した。まず、売り手側企業から受け取る社名、担当者名、代表者名、住所、電話番号といった買い手側企業の情報に、過去のPaid内の取引データ、信用調査会社のデータなどを付け加える。このデータをAIシステムに読み込ませ、データの特徴から未払いと遅延の発生確率を推定する。これを基に掛け売り取引で保証できる限度額を導き出す。

 AIシステムの学習には、Paidが保有する過去の取引データを利用した。

 石井俊之取締役副社長は「高額の掛け売り取引でも瞬時に完了できるようにして、決済のストレスを減らしていきたい。加えて、当社が負う未払いや遅延のリスクを減らす」と説明する。