三菱電機とオランダの地図サービス会社ヒア・テクノロジーズ(HERE)は2017年10月27日、高精度の位置情報を活用したサービス展開について協業したと発表した。三菱電機が開発した高精度の車載全地球測位システム(GPS)端末とHEREの位置情報プラットフォームを組み合わせ、地図情報の動的更新や前方路面の危険回避といった自動運転の支援サービスを2020年をめどに展開する。

協業会見で握手を交わすオランダのヒア・テクノロジーズのエザード・オーバーベークCEO(左)と三菱電機の井口功専務執行役
[画像のクリックで拡大表示]

 三菱電機はGPSの信号と補正情報、自立航法による測位情報などを組み合わせて、走行中の自動車の現在地を高精度に測定する技術を開発している。2018年4月に運用が始まる準天頂衛星「みちびき」の補正情報を加えると、「センチメートル級」(同社)の誤差で現在地を測定できるといい、既に2017年9月から「高精度ロケータ」と呼ぶ同技術搭載の車載端末を使って高速道路上での自動運転の実証実験を始めている。補正情報の無い海外でも、誤差1メートル程度の精度にめどを付けている。一方のHEREは地図に紐付く様々な情報を集約・活用するクラウドベースの位置情報プラットフォーム「Open Location Platform」を提供している。

 今回の協業では、三菱電機の高精度ロケータで得られた位置情報とHEREのOpen Location Platformの情報を組み合わせ、新たなサービスを共同開発する。例えば、走行中の道路の前方で事故や渋滞が起こっている場合、どの車線が最もスムーズに通行できるかを提示したり、工事などによる走行車線の封鎖・変更を実車からの測位データを基に把握して素早く電子地図へ反映したりといった使い方を想定している。

 三菱電機は「高精度ロケータの販売や関連サービスの開発につなげたい。いずれは自動車向け以外も含め、高精度の位置情報の使い道を広げていきたい」(井口功専務執行役)考えだ。HEREはOpen Location Platformに集約する車両データの量と精度を高め、同様の位置情報プラットフォームを整備している米グーグルやオランダのトムトム(TomTom)との差異化を図る。

 三菱電機とHEREの取り組みは、まずは欧米で展開して他地域にも順次展開するとしており、日本と中国は対象外としている。HEREは日中で自社による電子地図の整備をせずにパートナー戦略を採っていることや、国内では三菱電機や自動車メーカー、地図メーカー各社による共同出資会社「ダイナミックマップ基盤」(DMP)が自動運転などに向けた位置情報プラットフォームの整備に動いていることなどが背景にあるとみられる。