大阪教育大学は2017年10月19日、学生の投稿コメントを利用した遠隔授業を公開した。大阪教育大学、奈良教育大学、京都教育大学の約80人の学生が、それぞれの教室から参加。教員の問いかけに応じて学生がスマートフォンで投稿したコメントを基に、双方向型の授業を実施した。学生が能動的に学ぶ学習スタイルとして注目される「アクティブラーニング」を、スマートフォンを使って促進する取り組みだ。

 この日の授業は、大阪教育大学 教育学部教育協働学科理数情報講座の片桐昌直教授が担当する「知的財産権入門」。大阪教育大学では2年生を中心に約50人、奈良教育大学では1~2年生中心の約30人、京都教育大学は1人が参加した。

大阪教育大学の教室。講義の模様は、奈良教育大学、京都教育大学にも中継した。投稿コメントを映し出すスクリーンを前方に用意している
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 授業では、片桐教授が「将来教員になる上で、特許について知っておいた方がよいか」などの質問を学生に投げかけ、各教室の学生がスマートフォンを使ってコメントを投稿した。コメントは前方のスクリーンに次々と現れる仕組みで、片桐教授は特定のコメントを拡大したり、画面の中央付近に固定したりしながら、コメントを基に授業を進めた。今回の授業では、大阪教育大学での講義の様子をほかの2大学に中継。学生のコメントが流れるスクリーンは、3大学の教室に用意した。

学生の投稿コメントは、画面の周囲に次々と現れて流れていく。特定のコメントを教員が拡大したり、中央に配置したりできる
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 こうした遠隔授業では、ほかの教室の学生がコメントする際にはマイクを使って発言するケースが多い。この方式では、学生が積極的に発言することは少なく、多くの学生からコメントを集めるのも難しい。今回の公開授業では、一つの質問に対して次々と投稿が流れる様子が見られた。また、授業後のアンケートで奈良教育大学の学生から、「遠隔授業であるが、自分が参加しているという実感が得られた」という感想があったという。

学生は私物のスマートフォンを使ってコメントを投稿する。投稿の背景色を変えることもできる
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 片桐教授は今回の手法について、「遠隔の学生も意見を言いやすい。教員も、学生がどういう風に考えているのかをその場で把握できる。学生もこうした授業を繰り返すことでアクティブラーニングが次第に身に付いていく」と分析。さらに、「将来教員になる学生にとって、ICTを使うことでこうした授業ができると知ることも大切。教員になったときに、ICTを活用できるようになる」と述べた。

 この授業は、アイデアや意見をグループで共有することで意見交換や討議を支援する富士通のツール「Webコア Innovation Suite(ウェブコア イノベーションスイート)」の機能を利用している。Webコア Innovation Suiteの実証授業以外での教育機関の利用は、今回が初めて。同社は「今後4年間で、100大学での採用を目指す」(西日本営業本部シニアディレクター 兼 関西文教統括営業部統括部長の纐纈芳彰氏)という。