経済産業省は2017年7月31日、電力や化学などプラントを扱う業界向けに「スマート保安セミナー」を開催した。各社のプラントのスマート化の事例を紹介し、業界全体を啓発することが目的だ。中部電力や旭化成などが登壇し、自社のIoT(インターネット・オブ・シングズ)活用事例を紹介した。

 プラントのスマート化では、異常予知などにより事故を防止したり、企業の競争力を高めたりすることを目指す。「プラントの老朽化や、保守・安全管理の実務を担ってきたベテランの引退などで、重大な事故は増えると考えられる。その中で企業は安全性と生産性の両方を担保する必要があり、IoTの活用はその有力な手段だ」と経済産業省の商務情報政策局 産業保安グループ保安課長の後藤雄三氏は述べた。「保安はコストではなく、未来に向けた投資だ」とも強調した。

経済産業省の商務情報政策局 産業保安グループ保安課長の後藤雄三氏
[画像のクリックで拡大表示]

 中部電力はビックデータ分析技術の活用による、火力発電の運転の最適化の支援の事例を紹介。2014年より3年間にわたって取り組んでいる。大量のプラントデータから状態変化や異常などの予兆を発見し、早期に対応することで、高効率な稼働を維持し故障を予防している。

 具体的にはNECのインバリアント(関係性)分析技術を用いて、センサーから収集した温度、圧力、流量などの様々なデータの関係性を解析し、設備異常を早期に発見する取り組みをしているという。「ベンダーとも協力し、段階的に導入することで、これまでの自社のノウハウとITを融合させた」(中部電力 発電カンパニー 火力発電事業部 技術グループ課長の市場元浩氏)。

 旭化成は、配管などの外面からの腐食である「保温材下腐食」の発生可能性を定量化した事例を紹介。保温材下腐食は、高経年の化学プラントで危険性が高い損壊現象で、定期的なメンテナンスが必要とされる。かつてはメンテナンスにのみ使われていた検査データと、配管などの使用、温度、使用期間などの当該部位の情報を組み合わせることで定量的に特性を把握し、検査実施の優先順位を決めるのに役立てているという。