写真●「イノベーターズ・オープン・フォーラム」で講演する米ナイアンティックのジョン・ハンケCEO(最高経営責任者)
(撮影:井上 裕康)
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 米ナイアンティック(Niantic)のジョン・ハンケCEO(最高経営責任者)は2016年4月26日、東京・目黒の目黒雅叙園で開催した「イノベーターズ・オープン・フォーラム」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で、「革新的なサービスを生むリーダーとチームの正体」と題して講演した(写真)。

 ナイアンティックは地図情報を生かしたスマートフォンゲームの「Ingress」(イングレス、関連記事:今からはじめるIngress、最速レベルアップ完全マニュアル)の開発元として知られる。ハンケ氏は地図関連企業を創業したのちに米グーグルに買収され、「Google Earth」などの開発に携わった。その後、グーグルの社内ベンチャーとしてIngressを立ち上げた(関連記事:Ingressは次世代モバイルアプリのショーケース)。2015年に独立してナイアンティックを設立。グーグルや任天堂、フジテレビジョンなどが出資している。

 ハンケ氏はリーダーとして地図分野で新サービスを生み出し続けてきた経緯を語った。「(著名なバスケットボール指導者である)フィル・ジャクソン氏から多くのことを学んだ」として、繰り返し彼の名を挙げた。

 「マイケル・ジョーダンのようなスーパースターがいるのにチームとしては勝てずに、リーダーとして苦労する彼の姿に、才能あるエンジニアやデザイナーを引き留めて仕事を成し遂げようとする自分の姿が重なった」(ハンケ氏)。

明確なミッションが不可欠

 こうして実践していることの一つが、明確なミッションを見つけ、そのミッションとビジネスをマッチさせることだという。「エンジニアやデザイナーにとっては、これがワクワクする感情に結びつく。そうすれば離職率が下がり、イノベーションを継続させられる」(ハンケ氏)。ハンケ氏が身を置いてきたシリコンバレーでは人材の流動性が高いため、事業を継続させるには従業員のモチベーションを保つことが不可欠だという。

 ナイアンティックでは、ビジョン・ミッションを基に、開発するゲームにルールを課しているという。(1)新鮮な目で世の中を見られるようにする、(2)外に出て体を動かさせる、(3)現実社会での交流を促すという三つのルールだ。

 特に(2)はユニークだ。Ingressは自宅でスマートフォンを触っているだけでは楽しめない仕組みになっている。遠方に旅行したり、旅行先でも歩き回ったりすることでさらに楽しめるように設計している。

 「私には3人の子供がいて、スマートフォンやタブレットを勝手に触る。管理するのは難しい。テクノロジーをうまく使って、子供たちを外に遊びに行かせることはできないかと考えた」(ハンケ氏)。Ingressには、こうしたハンケ氏の思いから生まれ、その後、会社のミッションにも色濃く反映されている。これがイノベーションの原動力にもなっているという。