「なぜ?」の答えは必ず、過去にある。ミスの発生から過去に遡り、原因を特定する。なぜなぜ分析をするときは、時間軸を忘れてはいけない。

 「なぜ?」の答えは必ず過去にある、というのが私が行き着いた結論だ。なぜなぜ分析はトラブルが発生した時刻や問題が発覚した時刻から過去に遡っていき、問題となった事象の発生原因を特定していく。警察が事件を捜査するときと同じである。

 業務は時間の経過とともに変化していく。失敗の原因は時間の流れのどこかで発生し、やがて目に見える問題となって表れる。

 失敗の原因を掘り下げる場合、問題が顕在化した時点から時間の流れを巻き戻すように「なぜ?」を考え始める。同時に、書き出した一つひとつの「なぜ?」はどの時点の話なのか、しっかり押さえていく必要がある。

 時間の流れを過去に向かってたどっていく感覚を常に意識して、「なぜ?」を自分自身や関係者に問いかけ、原因を掘り下げていく。すると筋道を見失わず、原因にたどり着けるようになる。

なぜの繰り返しで過去に戻る

 企業で実施されているなぜなぜ分析を見てみると、問題が起きた、あるいは何か行動を起こした時刻や時点をはっきりさせないまま、「なぜ?」を出し始めているケースが多い。すると理屈が通らない、おかしななぜなぜ分析になってしまう。

 本来、「なぜ?」を繰り返せば繰り返すほど、どんどん過去に遡っていくはずだ。だがそれぞれの「なぜ?」の時刻が明確になっていないと、「なぜ?」が新しい順に並ばないことがよく起きる。これでは理屈が通らないなぜなぜ分析はなくならない。

 時間軸を意識してもらうため、別の分析手法と比較してみたい。昔から実施されている改善手法のほとんどは、実は時間軸を一つひとつたどっていくようなやり方にはなっていない。

 代表的な例が「特性要因図」だ。時間軸のなかで変化していく事象や問題が発生する仕組みをひも解くことが難しい。

図 特性要因図の例
時間軸を考慮していない分析
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 特性要因図は問題となった事象の発生原因を時間軸を考慮することなく、最初の段階から「人」「システム」「作業環境」「管理」といった大きな項目に分ける。そして、それぞれのなかで「なぜ?」を繰り返す。

 特性要因図が悪い手法だと言っているのではない。弱点として、時間軸を無視した理屈の展開になりがちだという点を理解したうえで、利用してほしいということだ。さらに「人」と「システム」といった2つが相互に関係し合う要因において、その因果関係をひもづけることもできない。いきなり大きな項目を出してしまうと、目の前の問題との因果関係がない要因まで挙げてしまいがちになる。すると、警察で言うところの誤認逮捕につながる恐れが出てくる。

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