パナソニックは2017年9月27日、AI(人工知能)技術を使って人の体調や感情を高精度に判定できるセンシング技術を開発したと発表した。人の顔を捉えるカメラ画像と表面温度を測る赤外線センサーの2つを使い、読み取ったデータから眠気や温冷感のほか、喜びや怒りなどの感情も判定できる。眠気などの体調は15分後の状態も予測できる。

 居眠り運転を警告する車載装置や、快適さを測定してオフィス環境を改善するソリューションなどへの活用を想定する。2017年10月からシステムをサンプル提供し、企業向けに販売活動を始める。

 カメラと赤外線センサーで捉えた画像は、まばたきの周期や口角の上がり具合、眉間の距離、皮膚温度、放熱量などを数値として抽出する処理を行う。被験者から採取したこれらの少数のパラメーターと、その時の意識の覚醒度(眠気)や感情を対応付けして、感情や体調を判定するための学習を実施した。学習アルゴリズムは非公開だが、多層のニューラルネットワークを使った深層学習ではなく「従来型の機械学習の技術を使っている」(開発を担当した機能センシング開発部開発3課の楠亀弘一課長)という。

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データの処理過程、体調や感情の判定結果を示した画面

 現在の眠気を判定する精度は83%、15分後の眠気を予測する精度は70%を達成したという。「眠気の判定精度は世界一で、15分後の眠気を予測する類似技術はまだない」(楠亀氏)。感情の判定では笑顔で94%、嫌悪や怒りで85%の精度を達成し、これも世界トップクラスの精度だとしている。

 会見では、従来よりも視野角を広げた3次元レーザーセンサー、いわゆるLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)も発表した。ロボットや農業機械、施設内のセキュリティ機器などへの搭載を見込む。

 水平方向に270度、垂直方向に60度と、1デバイスで広い水平視野角と実用的な垂直視野角を両立している。ロボットに搭載することで、人や机など地面上に立っている構造物のほか、従来は捉えにくかった路面段差も、1デバイスで精度良く検知できるという。2018年1月にサンプル出荷を始める。

LIDARセンサー本体(左)と、LIDARで捉えた会見場の空間イメージ(右)
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 2つの技術は2017年10月3日に開幕するデジタル関連の展示会「CEATEC JAPAN」に出展する。