三菱電機は2018年1月17日、電子ミラー向けの物体認識技術を開発したと発表した。車載向けの一般的なマイクロコントローラー(マイコン)で、100メートル後方の車両をリアルタイムで検出できる。撮影画像内の目立つ領域に処理を絞り込む手法と、ディープラーニング(深層学習)の組み合わせで実現した。

後方を撮影したカメラの映像内にある車両を検出する
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 自動車の周囲を確認するドアミラーやルームミラーの代わりにカメラとディスプレーを使う「電子ミラー」が2016年に解禁された。2018年から徐々に普及するとみられている。三菱電機は周囲の車両を検出して運転者に注意を促せるようになれば電子ミラーの付加価値向上につながるとみて認識技術を開発した。

 毎秒30フレームの映像について、1フレームごとに認識処理をリアルタイムで実行する。100メートル後方を走行している車両を81%の精度で検出できた。三菱電機の従来技術では30メートル程度後方になると検出精度が大幅に低下したが、高い精度で検出できる範囲が大きく広がった。「81%はフレームごとの検出精度。複数のフレームにまたがって判定すればもっと精度は高くなる」(三菱電機 情報技術総合研究所の三嶋英俊知能情報処理技術部長)。

 人の視覚を模倣したアルゴリズムを採用した。人が自然に視界の中の目立つ領域に注目するように、まず各フレームの画像について、輪郭が集中している領域を抽出する。その後、抽出した領域で認識処理を実行する。この認識処理にはディープラーニングで乗用車やトラック、バイク、人を検出できるようにしたプログラムを用いる。一連の処理を軽量にする工夫により、車載用マイコン上で毎秒30回実行できるようになった。

 将来、自動運転車が車線変更できるかを判断するために「必須の技術になる」(三嶋部長)と見込む。三菱電機は今後、ミリ波レーダーなどの他のセンサーとの組み合わせにより、悪天候などで見通しが悪い状況でも高精度に検出できる技術を開発していく。