量子力学の原理を応用したコンピューター。理論上、超高速の演算能力を持つとされ、次世代のコンピューターといわれている。近年は米グーグル、米IBM、米マイクロソフトなどが注目し、開発競争が盛んになっている。

 量子コンピューターとは、量子力学の原理を応用して計算をするコンピューターのこと。現在普及しているパソコンなどのコンピューターが「0」と「1」の2つの状態を表すビットによって情報を処理するのに対し、量子コンピューターは量子力学的な重ね合わせを用いた「量子ビット」により情報を処理する。これにより、従来のコンピューターでは成し得ない超高速演算が可能となる。その演算能力を生かしてAI(人工知能)や機械学習などへの応用が期待されている。

 量子コンピューターの概念自体は古く、1980年代に生まれ、その後も世界で研究が続けられた。大きく2つの計算方式として「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」がある。前者は伝統的に研究されてきた汎用性の高い方式。後者は、東京工業大学の西森秀稔教授らが発案した最適化問題に特化した方式だ。

 実用化には時間がかかるとみられていたが、2011年にはカナダのD-Wave Systemsが量子アニーリング方式を用いた量子コンピューターを商用化。これを機に、米グーグル、米IBM、米マイクロソフトなどが続々と量子コンピューターの開発に乗り出した。

 2016年、IBMは同社研究所が保有する量子ゲート方式の量子コンピューターをクラウドサービスで利用できる「IBM Quantum Experience」を開始し、世界中に門戸を開いた。さらに2017年3月、その発展形となるプロジェクト「IBM Q」を発表した。同年10月にはマイクロソフトが「トポロジカル量子コンピューター」を発表。米グーグルは両方式の量子コンピューターを開発中だとしており、実利用の時代が近づきつつある。

2017年1月に発売した「D-Wave 2000Q」。量子ビットを従来モデルから2倍に増やし、2000量子ビットとした。価格は1500万ドル(出典:D-Wave Systems)
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出典:日経パソコン 2017年11月13日号 p.13
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