第15回を迎えた都道府県CIOフォーラムの年次総会(2017年8月24日と25日に開催)。事前アンケートでは、AI活用への期待として、(1)定型事務・単純事務の自動化、(2)一次窓口の支援、(3)政策の企画・評価の支援などが上位に挙がった。

 具体的には、(1)では「所要時間短縮による住民・企業の利便性向上」、(2)では「窓口の24時間対応」「職員の習熟度に左右されないFAQ提示による対応の標準化」「クレームなどの困難事例の対応支援」、(3)では「政策立案の基になる実情・統計の的確な分析」などだ。また、全国共通サービス/事務でのAI用学習データの集約、庶務事務でのRPA注1)活用も挙がった。

横田 富雄氏
山梨県 総務部 情報政策課 情報システム専門監
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 これに対し行政情報システム研究所の狩野氏は、「実は手続き業務でのAI活用例は意外に少ない。業務が細分化されていて、項目当たりの蓄積データが少ないからだ。一方、事務作業や定型作業は有望で、中でも画像や音声を扱う保安巡回・監視・検査へ導入される可能性が高い」と解説した。

 山梨県総務部情報政策課の横田富雄情報システム専門監は、「果たして政策立案・決定にAIは使えるか。政策を決める時点では不明な未来の事項を考慮して判断するので、結果からさかのぼれない」と尋ねた。狩野氏は「AIは最終判断ができないし、検証できる範囲でしか使えない。例えば気象庁は天気予報に機械学習を活用しているが、最後に必ず人がチェックする。数十年に一度の事態にはAIは役に立たないからだ。未来予測に活用できる統計分析などと使い分けるのがいい」と答えた。

本庄 克彦氏
秋田県 企画振興部 情報企画課 ICT戦略推進監
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 秋田県企画振興部情報企画課の本庄克彦ICT戦略推進監は、制度や慣習を変えることの難しさを訴えた。「紙文化をなくさないとデジタル思考に移っていかないが、非常に難しい。これまでの文書をどうデジタル化するか、庁内体制をどうすればいいのか、問題は多い。AIの導入で仕事がなくなるという、職員が抵抗を感じる問題もある」。

 狩野氏は「AI導入は流れとして間違いなく進展する。例えばセキュリティ監視業務はAIに置き換えられる。既に機械学習がウイルス検知に導入され、成果を上げている」と、自治体側の変革の必要性を強調した。

注1)RPA
Robotic Process Automation。ソフトウエア・ロボットによる事務作業の自動化。ブラウザーや表計算ソフトなど複数のソフトをまたぐ作業を対象とする。

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