15回目となる都道府県CIOフォーラムの年次総会(2017年8月24日と25日の2日間開催)。2日目午後のディスカッション3は、政府が2017年5月に決定した「デジタル・ガバメント推進方針」に明記された「サービスデザイン思考」や、人工知能(AI)の発展・普及により、行政サービスの姿が今後どのように変わるかがテーマだった。

松本 浩二氏
香川県政策部 情報政策課 副課長
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 ほとんどの自治体には“未知の世界”であり、内閣官房の平本氏と行政情報システム研究所の狩野氏の講演への質疑応答を中心に進行した。

 まず、香川県政策部の松本浩二情報政策課副課長が、平本氏にデータの標準化について質問した。「行政だけでなく民間にもデータ標準化が普及しないと、データの連携や流通に支障が出る。データ標準化を普及させる施策を考えているか」。

デジタル化への抵抗は必ずある

 平本氏は「国としては成功事例を作りたい。法人情報を標準化して申請を楽にして民間に体感してもらい、そこから他に広げたい。ビジネス以外では、自治体などのイベント情報の標準化を始めた。もちろん、利用者のサービス向上と同時に、問い合わせ対応や内部管理業務の負担軽減など、自治体職員のメリットも考えている」と回答した。データ標準化の法令化については、「既存書類の取り扱いにも波及するので考えていない」とした。

 神奈川県の藁科至徳情報統括責任者(CIO)は、「庁内文書システムの稼働率が非常に低いので刷新する。ところが、添付文書を筆頭に既存文書のデジタル化が想像以上になされていないことが分かり困っている。政府の状況はどうか。良い施策はあるか」と質問。

 平本氏は「同様の問題を抱えている。文書のデジタル化は急務だ」と告白。利便性向上策の一つとして、図表に100文字程度の概要を付与することを最近始めたという。「タイトルと日付、中身だけだと検索にかかりにくい。概要があるだけでかなり検索性が上がる」と回答した。

桑原 義幸氏
広島県 総務局 情報戦略総括監
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 広島県総務局の桑原義幸情報戦略総括監は、「サービスデザイン思考やデジタル・トランスフォーメーションで行政事務を変えると働き方が変わり、組合との交渉が必要になる。進め方はどうすればいいか」と質問した。

 平本氏は「抵抗は必ずある。国では成功事例を作るため、法人関連など抵抗が少ない部分から始めた。個人情報やセキュリティなどは抵抗が強いと予想される」と回答。重ねて「一方的に紙の業務をなくすのではなく、より高度な業務に配転するなど改革のやり方を職員と一緒に考えるべき。鉄道の改札業務など時代の流れでなくなるものもある。根気強く進めるしかない」と付け加えた。

宮 典男氏
新潟県 総務管理部 情報政策課 情報主幹
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 新潟県総務管理部情報政策課の宮典男情報主幹は、「デジタル・ガバメントの突破口をどこから開くか。民間がどんなデータをどんな形態で持っているのか役所が分からない状況で、プラットフォーム構築で何から取り組めばいいか」と尋ねた。

 平本氏は「将来はプラットフォームにソフトウエアを載せたい。まずはAIで分析するために、官民のデータを標準化してきれいな形でそろえる必要がある。これができないと、結局表計算ツールに毛が生えたようなものしかできない」と説明。同時に「住所を項目で切り分けたり、法人番号を自動付与したりするデータ変換ツールを作成中。ガイドを用意し使いやすくする」とした。

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