2017年に国内で開催されたスタートアップ向けのプレゼンコンテストを席巻――。そう言っても過言ではない、注目のベンチャー企業がある。訪日外国人向けのスマートフォンアプリを手掛けるWAmazing(ワメイジング)だ。

 その受賞歴は華やか。「ICCカンファレンス FUKUOKA 2017」(主催:ICCパートナーズ)の「CATAPULT-スタートアップ・コンテスト-」で優勝。「B Dash Camp 2017 Spring in Fukuoka」(主催:B Dash Ventures)のピッチアリーナでは最優秀賞。「東急アクセラレートプログラム2017」(主催:東京急行電鉄)でも最優秀賞。そして「JR東日本スタートアッププログラム」(主催:JR東日本)では優秀賞(アクセラレーションコース)をそれぞれ獲得した。

 審査員が異なる複数のコンテストで一様に高く評価されたのは、社名と同名のアプリ「WAmazing」で実現したビジネスモデルの完成度が高かったからだ。WAmazingのサービスは、訪日外国人が不便に感じることを解消するもの。スマホアプリを通じて、「インターネット通信手段の確保」「宿泊予約」「タクシーの手配」「決済」などを“ワンストップ”で提供可能にした。

訪日外国人向けアプリ「WAmazing」の画面例
(出所:WAmazing)
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 現在は、香港と台湾の在住者に限定してアプリを提供している。そのため、日本人にはなじみがないだろう。しかし現地では、2017年2月のリリース以来、合計で約7万ダウンロードを達成した人気アプリになっている。このペースでいけば、当初の目標である初年度で10万ダウンロードの達成は確実だ。「目標の2倍に相当する20万ダウンロードが視野に入ってきた」と、WAmazingの加藤史子社長は自信を見せる。それでは好調の理由を探っていこう。

無料SIMカードの空港配布で、口コミ拡大

 WAmazingのサービスで最も特徴的なのが、スマホに差し込むSIMカードを無料で提供していることだ。WAmazingのアプリをスマホにインストールし、個人情報やクレジットカード情報を登録した人は、日本の主要な空港で無料でSIMカードを受け取れる。利用者はアプリでQRコードを表示し、空港に設置してある専用の受け取り機にかざすだけでよい。受け取ったSIMカードを自分のスマホのSIMカードと入れ替えれば、その場からすぐに使える。このSIMカードは15日間、500MB(メガバイト)までのデータ通信が無料だ。データ容量を追加したい場合は有料になる。

空港に設置してある、無料SIMカードの受け取り機
(出所:WAmazing)
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 訪日外国人にとって、インターネット通信手段の確保は悩みの種だ。SIMカードを配ることで、その悩みを解消する。ただし、「無料でのSIMカードの提供は、いわゆる“客寄せパンダ”に過ぎない。アプリを各自のスマホにインストールしてもらうための動機づけだ」と加藤社長は冷静に秘密を明かす。

 WAmazingの本業は、SIMカードの配布によるデータ通信の追加料金の徴収ではない。ホテルや旅行ツアーの手配と決済で稼ぐビジネスモデルを描いている。言うなれば、オンライン旅行代理店サービスである。こうした仲介サービスによる売り上げが、WAmazingの主要な収入源になる。無料SIMカードでアプリのダウンロードを促し、各種手配サービスを訪日外国人に利用してもらうことを狙っている。

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