2017年の通信業界を振り返ると、主役は意外にも楽天だった。同社は2017年9月、「FREETEL」ブランドで格安スマホを手掛けるプラスワン・マーケティングの通信(格安SIM)事業を買収すると発表。2017年12月には携帯電話事業への本格進出も決めた。周波数の割り当てが無事に認められれば、イー・アクセス(現ソフトバンク)以来、13年ぶりの新規参入となる。

 以下では、通信業界における2017年の主なニュースを50件ほどピックアップした。注目の出来事を中心に改めて振り返っていきたい。

逆風が目立った格安スマホ

 年間を通じて話題が多かったのは格安スマホ。もっとも、2016年までのように順風満帆な状況ではなく、不安材料が徐々に目立ってきた。

2017年上期(1~6月)の主なニュース。個人向けを中心にピックアップした
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 まずは販売面。国民生活センターは2017年4月、格安スマホに関するトラブルが増えていると注意を呼びかけた。格安スマホがITリテラシーの高いユーザーから一般層に広がった影響が大きいが、直後には消費者庁がプラスワン・マーケティングに対して景表法違反で措置命令を出した。

 次は携帯電話大手の巻き返し。ソフトバンクの「Y!mobile」やUQコミュニケーションズ(KDDIの連結子会社)の「UQ mobile」といったサブブランドの攻勢に加え、NTTドコモが新料金プラン「docomo with」を2017年6月に投入した。端末の購入補助が付かない代わりに、通信料を月1500円安くするプランだ。「シンプルプラン」(基本料は月980円)と組み合わせれば、家族は月280円で回線を維持できると訴求し始めた。

 NTTドコモはdocomo withをあくまでもサブブランド対抗と位置付けるが、見方を変えれば「格安スマホ潰し」との批判を招きかねない。提供に当たっては、NTT持ち株会社からダメ出しを食らったばかりか、総務省からも却下された。それでも端末と回線の分離を推進していく旨を粘り強く説明し、半年がかりで実現にこぎ着けた。

 だからこそ、KDDIも2017年7月に投入した新料金プラン「auピタットプラン/auフラットプラン」で追随した。端末の購入補助が付かない代わりに毎月の通信料を安くする方式を全面的に取り入れ、auピタットプランについては毎月の通信量に応じた5段階の定額制として使い勝手を高めた。さらにキャンペーンを組み合わせ、販売店で「料金は格安スマホ並み」とアピールできるようにした。

 サブブランドを含め、携帯電話大手は強力な販売網を抱え、豊富な資金力を背景に、広告宣伝でも圧倒的な強さを誇る。さらに顧客還元の強化だけでなく、光回線や電気、保険、ポイント、クレジットカードなどの提供で囲い込みを図り、守りを固める。格安スマホの成長はまだ見込めるものの、料金の安さを訴求していれば簡単に顧客を獲得できる状況ではなくなってきている。

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