日本交通のデジタルタクシー戦略において配車アプリと対をなすもう1つの柱がデジタルサイネージだ。10インチのタブレット端末を助手席のヘッドレストの裏側に設置し、乗客に広告やニュースを届ける仕組みである。同社のタクシー約4200台に配備済みだ。

助手席背面に据えたタブレット端末
広告表示のほか決済にも使える
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 広告主には大手企業が名を連ねる。JapanTaxiは広告配信システムを手掛けるフリークアウトと合弁会社IRISを2016年6月に設立。「Tokyo Prime」と呼ぶ広告商品で事業を開始した。

 日本交通の調べではタクシーの平均乗車時間は約18分。ここでいかに稼ぐか。同社はTokyo Primeで乗客が暇を持て余す乗車中の18分を広告の視聴時間に変える作戦に出た。

 タクシー会社によっては車内に置く紙のチラシ広告に、人には相談しにくい身体上の悩みを改善する「コンプレックス商材」を扱うケースがあった。どちらかというとネガティブだったタクシーの車内広告の印象を払拭するために、JapanTaxiは質の高い広告の配信を目指したという。金CMOは「広告収入が伸びれば新事業に振り向ける投資も増える」と話す。

客層に応じて広告を出し分ける

 性別や年齢に応じて広告を出し分けられるように工夫した。タブレット端末は内臓カメラで撮影した顔を自動認識し、位置や時間、曜日、走行地域を加えてどの広告を流すかを判断する。

 広告はフリークアウトの広告配信サーバーからタブレット端末に配信される「どんな客層にどの広告を再生するか」を記したリストを基に流す。「広告主は狙った客層に高画質の静止画や動画をピンポイントに届けられるメリットがある」(同)。

 平均乗車時間が18分とはいえ、乗客がいつ降りるかは分からない。そこでJapanTaxiは動画広告の値付けを工夫した。タクシーが客を乗せて走り始めると動画広告が再生される。最も高いのは初めの3分。具体的な料金は非公開だが、「初めの3分の広告費は次の3分の3~4倍」(岩田CTO)という。

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