ExcelのマクロにERP(統合基幹業務システム)パッケージのアドオン――。PCの操作やシステム処理を自動化する技術は以前からある。ただ、従来の技術はアプリやシステムごとに別々。複数のアプリやシステムを併用する多くの職場にとって、業務処理全体を自動化する手段としては不十分だった。この壁を乗り越えるためにRPAを活用するのが三井住友海上火災保険だ。

 同社はプログラミング言語「VBA」を使って、ExcelやInternet Explorer(IE)によるPC作業を自動化するソフト「ワンクリックツール」を独自開発し活用してきた。現場から好評を得ており、現在は「300種類のツールを使っている」(経営企画部ICT戦略チームの近田伸矢課長)。

三井住友海上火災保険の効率化に向けた取り組みの変遷
(画像提供:三井住友海上火災保険)
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対象システムと部門を拡大

 その1つが「封筒宛名印刷ツール」だ。現場担当者が保険の証券番号を専用のExcelシートに入力すれば、契約者の住所や氏名などのデータを社内システムからIEで自動収集。封筒に宛先を自動印刷する。こういったツールは社内サイト「ワンクリックツール目安箱」で集めたニーズを基に開発してきた。

 ただしワンクリックツールには制約があった。自動化できるPC作業はExcelとIEに限られ、社内に多いクライアント/サーバー型のシステムには使えなかった。そこで「ExcelやIE以外のソフトも自動化できるRPAに注目した」(近田課長)。2016年4月、新しいITの調査研究をミッションに持つICT戦略チームを経営企画部に新設し、RPAの調査を始めた。

 ワンクリックツールの課題はもう1つあった。主な利用部門は営業部門や損害サービス部門であり、本社の間接部門などは対象外だったのだ。「間接部門こそPC作業を効率化する余地が大きいはず。なのに手つかずになっていた」(近田課長)。

 近田課長はRPAの本格導入を見据えて、それまで対象外だった部門のPC利用実態を調べた。調査はアクセンチュアの協力を得て、2017年2月から7月にかけて本社部門など6部署を対象に2度にわたって実施した。対象部門の了解を得たうえ、専用ツールを使って社員が使うPCの操作ログを取得。内容を分析してRPAの適用余地があるかを探った。ワンクリックツールを導入していない本社部門の社員40人への最初の調査では、1566時間分、78万件のPCの操作ログを分析した。

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