みちびきは大きく3つの機能を提供する。(1)GPSの補完、(2)GPSの補強、(3)メッセージ機能――である。いま注目されているのは(2)のGPSの補強である。各機能の概要を見ていこう。

みちびきの提供機能
(内閣府配布資料を基に作成)
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 GPSの補完は、文字通り米国のGPSによる測位をみちびきが補完するものである。みちびきはGPSと同じ信号も出しているので、ユーザーにとってはGPS衛星の数が1つ増えたように見える。内閣府 準天頂衛星システム戦略室の小林 伸司室長補佐は、「GPSによる測位は4機の衛星が見えている必要があるが、みちびきは1機が日本の上空に位置しているので、今まで測位できなかった場所で測位できるようになる。また見える衛星が多いほど精度は上がるので、より正確で誤差の少ない測位が可能になる」と説明する。

 それに対してGPSの補強とは、みちびきを利用してGPSによる測位の精度を高めるものである。「GPSの信号とは別の、GPSによる測位の誤差を補正するための信号を受信する」(内閣府の小林室長補佐)という仕組みだ。この信号は、国内に約1300カ所ある「電子基準点」と呼ぶ緯度・経度が正確な設備で作った高精度な測位の情報を、みちびき経由で受信機に送るものだ。静止時の水平方向だと、誤差数cmレベルで現在地が分かる。この測位方法を「センチメータ級測位補強サービス(略称はCLAS:シーラス)」という。高精度の測位を実現するサービスとしてはもう1つ、「MADOCA-PPP」がある。これはCLASとは別の手法を使うもので、現在は技術実証中だ。

 このほか、精度がGPSよりは高いがCLASまではいかない「サブメータ級測位補強サービス」がある。測位の精度は、1m以下となっている。GPSの補完とCLAS、サブメータ級測位補強サービスは現在試験サービス中で、2018年度に本格運用に入る予定だ。

 メッセージ機能は、災害時における避難所の位置や開設の情報、避難者数などを防災機関に伝達する「衛星安否確認サービス」と、地震や津波などの災害情報を送る「災害・危機管理(災危)通報サービス」がある。

高精度のRTK-GPSと比べたときの利点は?

 GPSは、単体で使う際の精度はみちびきのCLASなどより低くなるが、それを補うRTK-GPS(Real Time Kinematics GPS)と呼ぶシステムが実用化されている。RTK-GPSは、携帯電話のネットワークなどを使って位置を補正する情報を受信機に配信することで、誤差数cmの測位を実現する技術である。実用化済みで、農業分野などで使われている。

 こうしたRTK-GPSに対するCLASの利点は2つ。1つは衛星の位置だ。RTK-GPSなどの高精度の測位に対応する農機や建機などを手がけるトプコン スマートインフラマーケティング部営業支援課の富田 克則課長は、「GPSなどの衛星は、少し位置がずれただけで捕捉できなくなることがある。その点でみちびきは日本のほぼ真上に位置するため、捕捉しやすい」と説明する。

 もう1つの利点は、測位情報を送るためのネットワーク設備が不要なことである。ただし、CLASに対応する装置やシステムはまだ出そろっていないため、導入コストや運用コストに及ぼす影響が見えてくるのはこれからだ。トプコンの富田課長は、「RTKに対応する配信サービスもあるため、設備の設置が必要とは限らない」と説明する。

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